食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)


ある特定の食品を食べて数時間(多くは1〜2時間以内)の内にある程度の運動をするとアナフィラキシー症状が現れるというものです。食物アレルギーの特殊型です。
その食品を食べただけ、あるいは同程度の運動をしただけでは何の症状も現れません。
症状を誘発する運動は、ウォーキング程度の軽いものから、部活動などの激しい運動まで様々です。比較的運動量の多い場合に誘発されやすい傾向があります。
また、解熱剤などに使用されるNSAIDs(非ステロイド系消炎鎮痛剤)を使用していると症状が誘発されるという報告もあります。
中学生の約6000人に1人の割合で現れ、男児に多く、原因食物は小麦、甲殻類(エビ、カニ)、木の実類が多いのですが、ゼラチンの例や小麦と梅干しを合わせて食べたときに起こる例も知られています。
学童期は好発児期であり、主に小学校高学年から増え始め、中・高校生の発症が多いです。
これは原因食物の摂取量および運動量が増えることが一因と考えられています。

症状は急速に進行し、全身症状(アナフィラキシーショック症状)が現れることもまれではありません。蕁麻疹として出現することもあります。
この現象がどのようにして起こるのかわまだわかっていませんが、極めてまれという訳ではありません。
成人よりも運動を激しくする子どもに見られることが多く、学校で昼食を食べた後の昼休みの運動中、体育の授業や放課後の部活動の途中で起こる例が時々経験されます。
こういった病態があるということに気付かれないと、単なる体調不良でかたづけられたり、てんかんと誤診されてその後も同様のアナフィラキシー症状を起こして苦しむことになります。

小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(WDEIA)
小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(WDEIA)に対する臨床的感度(陽性率)は、小麦48%、グルテン56%、ω-5グリアジン80%であり、小麦陽性のアトピー性皮膚炎を対照とした場合の臨床的特異度(カットオフ値=0.35UA/mL)は、グルテン44%、ω-5グリアジン68%でした。この結束、WDEIAの診断における臨床的感度・特異度はω-5グリアジンが最も優れており、従来検査の臨床性能を大きく改善することが示されました。さらに、ROC解析により求めたω-5グリアジン特異的lgEの最適カットオフ値は0.89UA/mLで、臨床的感度、特異度はぞれぞれ78%、96%でした。

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