アレルギー用ミルク


アレルギー用ミルクとは
アレルギー用ミルクはミルクアレルギーを持つお子さんのために開発されたミルクです。
タンパク質の抗原性は、タンパク質を加水分解し、低分子化することによって低減します。
アレルギー用のミルクはミルクのタンパク質を加水分解することにより、アレルゲン性を低下させたものです。

アレルギー用ミルクの種類
低アレルゲン化したカゼイン分解乳(ニューMA-1、エピトレス、ペプティエッド)があります。
アレルギー用のミルクはアレルギーの症状に合ったミルクを選ぶことが大切です。また、カゼインを分解したミルクが必要な子と、乳清を分解したミルクが必要な子がいますので、それぞれにあったミルクを使用します。

◎加水分解乳 
タンパク質を低分子化させた、一般的なアレルギー対応ミルクです。カゼイン加水分解乳・乳清加水分解乳と種類が分かれるほか、加水分解度にも違いがあります。
分子量が低いほどアレルギーを起こしにくいです。


軽度の湿疹または予防的に使用するもの
 E赤ちゃん(森永乳業) カゼイン加水分解乳 分子量5000以下 乳糖含有 牛乳たんぱく質を消化吸収の良いペプチドとしたミルクです。乳清蛋白質を原料としていますのでミルクアレルギーには使用できません。
     湿疹の程度は軽度のもの、もしくはアトピー性皮膚炎の予防用として 使用します。味は悪いです。
 MA-mi (森永乳業) カゼイン加水分解乳 分子量2000以下 乳糖微量含有 、乳清蛋白質分解物、アミノ酸
     E赤ちゃんとMA-1の間に相当するミルクで、味はかなり飲みやすくなっています。予防的に使います。
 のびやか(明治乳業)
   乳清蛋白加水分解乳 乳糖含有 湿疹の程度は軽度のもの、もしくはアトピー性皮膚炎の予防用として 使用します。味は改良されて良くはなっていますが、今ひとつです。湿疹や下痢など起こることがあるので、注意が必要です。
 ミルフィー(明治乳業)  カゼイン加水分解乳 分子量5000以下 乳糖含有 乳清蛋白質を原料としていますのでミルクアレルギーには使用できません。湿疹の程度は軽度のもの、もしくはアトピー性皮膚炎の予防用として 使用します。味はあまりよくはありません。

ミルクアレルギーに使用するもの
 ニューMA-1 (森永乳業) カゼイン加水分解乳 分子量1000以下 乳糖含まず 乳清タンパク除去
 エピトレス(明治乳業)  カゼイン加水分解乳 分子量1000以下 乳糖含まず 乳性タンパク除去
 ペプディエット(雪印)  カゼイン加水分解乳 分子量1500以下 乳糖含まず 大豆レシチン配合 乳清除去

  これらのミルクは味も悪く飲みにくいですが、最初からでしたら赤ちゃんはあきらめて飲んでくれることが多いです。味覚が形成される5ヶ月以前から始めるのが普通です。森永乳業のものはどちらかというとぱさぱさした感じの便になります。予防で使うMA-mi はMA-1よりは飲みやすいです。明治乳業のものは少し柔らかめの便になります。問題はありません。 値段は高いので、少々負担にはなります。

◎アミノ酸乳
 タンパク質を含まない、完全にアミノ酸まで分解したミルク。アレルギーの強い子・大豆アレルギーの子用です。ただし、高額で長期の使用は肝臓などに負担がかかりますので、改善がみられたら、すぐに別のアレルギー用ミルクへ換える必要があります。
 エレメンタルフォーミュラー(明治乳業)  精製結晶アミノ酸乳 無乳糖食品
    エレメンタルフォーミュラー(アミノ酸混合乳)は成分栄養ミルクと呼ばれ、アレルゲンとなるタンパク質を含まないためカゼインや乳清蛋白の加水分解乳に対しても過敏反応を示す子にも使うことができます。

◎大豆乳(ボンラクト、ソーヤミール)
 大豆タンパク質を使ったミルクで、牛乳アレルギーで大豆は大丈夫な子供に利用できます。
 大豆アレルギーを起こしやすいので,要注意です。
 以前、ミルクアレルギーを治療するのに、ボンラクトをかなり勧められていましたが、結局大豆アレルギーがかなり出てくることが分かって使用しなくなりました。

院長通信
予防ミルクにしても、アレルギー用ミルクにしても味は良くないし、値段も高いですが、早めに始めることで何とか飲んでくれることが多いです。問題は混合栄養の子どもです。母乳は甘くておいしいですが、アレルギー対応のミルクはおいしくないので、混合栄養が成り立ちません。とりあえず試してみて、うまくいかないようなら普通のミルクを使って治療を進めていきます。もちろんミルクアレルギーには使えませんので何とかして飲んで頂くことになります。 また、早く始めるほど、早くやめることができます。
※おかあさんが湿疹を見て勝手に判断して、アレルギーミルクを飲ませることは良くありませんので、必ず小児科医に相談してください。
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