吸入ステロイド剤


 気管支喘息の治療に吸入ステロイド剤を使用することが認められるようになりました。喘息の基本は気道(気管や気管支を含めた空気の通り道)の炎症であり、これをステロイドという抗炎症剤で抑えることにより喘息をコントロールするのです。気道の炎症が起こると気管支の基底膜部の肥厚(分厚くなること)、痰などの気道内分泌物の貯留、気道上皮の障害や剥離、気道粘膜の浮腫などが起こってきます。このため呼吸が特に、息を吐くときにしんどくなり(呼気性呼吸困難)、同時に喘鳴が聞こえるのです。咳をするようになり痰を出そうとします。
実際に使用してみるとなかなかコントロールができなかった喘息の発作をかなりの率で予防することができます。最近では早期に使用することが推奨されるようになってきました。
小児科医にとっては喘息の治療にステロイドを使うのは何となく気が引けていたのですが、最近では副作用はほとんど見られないことから積極的に使用して喘息を現在と将来にわたって予防することが大切ということで、私も使用しています。

製品について
フルタイド プロピオン酸フルチカゾン 50,100,200μg 
  小児1回50μgを1日2回 最大量1日200μg 成人1回100μgを1日2回 最大量1日800μg
    副作用 コルチゾール減少 鼻出血、咳
キュバール プロピオン酸ベクロメタゾン 50,100,200μg 
   小児1回50μgを1日2回 最大量1日200μg 成人1回100μgを1日2回 最大量1日800μg
   ○キュバールの方が噴霧の強さがソフトな感じのようです。

パルミコート ブデソニド 100、200タービュヘイラー(11.2mg100μg/回、200μg/回)
    成人 1回100-400μg1日2回 1日最大量1600μg
   小児 吸入用の製剤で 6ヶ月以下5才未満 0.25mgを1日2回または0.5mgを1日1回ネブライザーを用いて吸入します
     症状により増減。1日の最高量は1mgまで。
         副作用 口腔カンジダ症 落ち着きのなさ 発疹 じんましん 咽喉頭の刺激感、悪心
   特徴 ブデゾニドは水に対する溶解度が高く、気道内腔の粘液や線毛を通過しやすく気道組織に到達しやすい性質を有します。
   〇赤ちゃんに使えます。効果はかなり期待できます。
   〇吸入には従来の超音波式の吸入器が使えませんので、すでにインタール+メプチンの吸入などで超音波式の吸入器を持っている方には新たに購入して頂かなければなりません。

アドエア (一般名 サロメテールキシナホ酸塩・フルチカゾンプロピオン酸エステル)
 吸入ステロイド剤と長時間作動型吸入β2刺激剤の合剤です。
 50エアー 100、250、500ディスカス
 成人、年長児には250ディスカスを1吸入1日2回吸入します。

 特徴は気道過敏性の改善、呼吸機能改善効果があり、早期に効果が発現します。フルチカゾン単独よりも症状が有意に改善してくるようです。
 診断・治療ガイドラインでも軽症持続型から推奨されています。
 副作用は嗄声、口腔カンジダ症、頭痛、咽喉頭刺激感などが主なものです。

★フルチカゾン(FP)はステロイド受容体(GR)に結合し、核内の遺伝子に結合することで好酸球等の炎症細胞に作用し、優れた抗炎症作用を発揮します。サロメテールはフルチカゾンのステロイド受容体への結合を促すことでFP・GR複合体の核内への移行を促進し、さらに遺伝子への結合を強化することでフルチカゾンの抗炎症作用を増強します。
(パンフより)

フルティフォーム(フルチカゾンプロピオン酸エステル50μgおよびホルモテロール酸塩化水和物5μg) 50エアゾール 125エアゾール
 吸入ステロイドのフルチカゾンと、効果の立ち上がりが速く、効果が用量依存性で24時間持続するホルモテロールフマール酸との組み合わせです。新しい吸入製品です。
 成人 50エアゾール を1回2吸入、1日2回投与。  成人で効果が良くない場合は 125エアゾール2〜4吸入使用。
 小児 5歳〜16歳 通常は成人と同様の吸入  スペーサーを使用した方がいいです。

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