お薬なが〜くください
子どもを診察をした後、よく「お薬なが〜くください」というおかあさんがいます。事情はわかるんだけどね。今は仕事を休めないのでしょう。子どもの病気の度に休んだら・・・ 会社もキツイでしょうね。
しかしです。子どもの症状は刻々と変化します。ですから症状が変わってきているのに、それに対応していかなければ、よくならないことは当然のことです。老人の病気のように2週間分薬を飲み続けるというようなことは小児科では慢性疾患以外はあまりありません。
子どもの症状が変化するにしたがって、治療を変更していくにはやはり、2〜4日くらいで様子を見て、お薬も必要なら見直して、変更していきます。しかし、”なが〜く薬をお出し”することは、そのような細かいチェックをしないということになります。これは”いい医者”とは言えませんよね。
症状が強かったり、その変化が心配な場合には1日か2日後には診せていただくこともあります。この場合、2日分の処方になります。これは小児科ではめずらしいことではありません。
長い日にちの処方をして、よくならないのにおかあさんが薬があるからと様子を見ていて、肺炎になっていたということもあります。このとき来てくださればいいのですが、症状が続くからと他の病院などに行かれて、肺炎だったということがあります。来院されていれば当然チェックしますから・・・悔しい思いをしたこともあります。
よく言われることですが、後から診る医者の方が断然有利です。
長い日にちの処方はこのように医者にとっても患者さんにとってもリスクを伴うものです。小児はしょっちゅう診るというのが一番いいのです。
ですから、おかあさんが仕事をしていて、なかなか通院できない場合、「少ししか薬をくれない」とういうクレームはわかりますが、子どもの病気の特性を考えると、このようになります。
それから、お薬を取っておいて、次の風邪の時などに使用するといった使い方をするおかあさんがいますが、これもよいことではありません。喘息の薬や特殊なものをのぞくと急性期の症状に対する薬は使い切ったら捨ててください。水薬などは色々なものが混ざっているので、取っておくなどというのは論外です。