それって扁桃腺ですか


 熱のある子どもを連れてきたおかあさんに「のどの熱ですね」と言うと、3人に2人のおかあさんが「それって扁桃腺ですか?」とかえってくる。
「いいえ、扁桃腺炎ではなくて、のど全体が腫れているんですよ。」するとまた「それって、扁桃腺が悪いのですか?」。 仕方なく、扁桃も含めて赤い場合は、「そうですね扁桃腺も一緒に腫れていますね。」と言うと安心したように「ああやっぱり扁桃腺ですか。」と納得する。違うっちゅうのに!
そんなおかあさんやおばあちゃんにのどの図を見せて、「どれが扁桃腺かわかりますか」と聞くと、半分以上の人が扁桃腺がどれだかわからない。さてどれでしょう。右図の両端にポコッと丸く見えるのがそうです。

 感覚的に風邪イコール扁桃腺炎と思っているようだ。これはどうも全国的にその傾向があるのではないかと密かに思っている。
 
 扁桃腺はのどの入り口にあるリンパ組織で、外から入ってくる病原体を捕らえて、体の中にはいるのを防ぐ防波堤のような組織である。大切なものである。しかし、どうもいらないものだと思っている人が多い。
これは扁桃腺が病原体にさらされて、いつも悪くなり、熱を出す原因と考えられ、必要のない上に悪さをするものだと信じられているからである。
最近は少なくなったが、しばらく前までしょっちゅう扁桃腺が切り取られていたこともその原因の一つである。

 実際に扁桃腺が腫れて熱が出ている子もいるが、のどが赤くなった子どもの4分の1以下程度である。多くの場合、扁桃腺が何ともないことはまれではない。扁桃腺が大きい子は熱が出るたびに扁桃が腫れていないのに扁桃腺炎ですと言われていることは間違いない。
これは医師の責任が大きい。何故ならすぐに扁桃腺炎と言う医師が多いからだ。その方がみんなふんふんと納得してくれ、楽だから。

僕は扁桃腺が腫れていないときは扁桃腺の無実を伝える。僕は扁桃腺の味方である。

扁桃腺肥大

それともう一つ、学校検診で2度程度の問題のない扁桃肥大を精密検査を必要とするように指示しないでほしい。これは学校医へのお願い。
(1995 Anatomical Chart Co.(株)アプライの図より)

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