お乳がやめられない


 ときどき、おかあさんが「実はまだ母乳を飲んでいるんです。」と相談してきます。
お乳をやめられない子はあまり多くはありません。おかあさんはやめたいとは思っているのですが、なかなか子どもが言うとおりにはならないのです。やめようとしているおかあさんと、全くその気がないおかあさんがいます。

 2才頃まで母乳を飲んでいる子どもが時にいます。この場合には母乳には栄養はあまりありませんので、母乳分だけ栄養が足りないことも多く、ほっそりしている子どもが多いような印象です。
だいたいの場合、やめたいと思っていて、何回かトライするのですが、ものすごく泣いてかじりつくようにする子どもが多く、根負けして、またずるずると飲ましているようですね。

このずるずるとなる現象は人間の弱いところで、断ち切るのが難しいことの一つでしょう。
欧米では2年も3年も飲ましていることは珍しくなく、あまりそのことを特に問題にしてはいないようです。文化の違いといいますか、それでもいいんです。ですから飲ましていても特に罪悪感を持つ必要はありません。ただ、日本の習慣だと、いつまでも飲ましていたら、依頼心の強い、甘えた子どもになる、甘やかすといってよくないこととしてとらえられていますので、やめていく方針ですすめたらいいと思います。ただ、その子どもたちが母親のお乳にかじりついていて、自立ができないかどうかはわかりません。逆におかあさんの愛情をたっぷりともらって、健全な発育をする可能性も十分あります。スキンシップは十分だからです。

 まあ、無理にやめなさいとは言いませんが、私自身は、栄養もないことだし、自立を促してやるために時期が来たらやめる試みをしていくのがいいと考えています。一般的には1才を越えたら考えたらいいと思います。もちろん抱っこはしっかりしてやって、スキンシップは大切に続けてください。

この場合はまず、「母乳をやめる」ということを前提にして、心を決めることです。そして、1日に母乳を2回、3回飲んでいたら、回数をとにかく寝る前の1回にします。そして、その後、決行日を決め、その後は泣こうがわめこうが断固として飲まさないという姿勢を示します。
そうすれば「案ずるより産むが易し」といいますように「案ずるより止むが易し」となるでしょう。
今、いろいろ悩んでおられましたら、心を決めてトライしてみてください。母親の意志の強さを見せるときでもあります。
(2001.9.3)

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