有元 利夫 (ありもと としお)


 豊かな才能で将来を期待されながら38歳という若さでこの世を去った「夭逝の画家」有元利夫(1946〜1985)は疎開先の岡山県津山市小田中で有元吉民、琴子の四男として生まれ、その後東京の下町である台東区谷中で育った。
 私立駒込高等学校に進学し、2年生の時美術の講師として教鞭を取る版画家中林忠良との出会いが芸術家を目指すさっかけとなり、1969年東京芸術大学美術学部デザイン学科に進学した。
 在学中、日本画、彫刻、版画の研究室にも通い、さらには、音楽学部にも足を運び様々なジャンルを幅広く吸収した。
1972年卒業制作「私にとってのピエロ・デラ・フランチェスカ」10点連作が大学買い上げとなる。  初めての海外旅行でフレスコ画と出会い強い衝撃を受け、そこに日本の仏画との共通点を見いだし、岩絵具や箔などの技法を学び、それを画面の中に用いた独特の技法を開発し、独自の絵画を創造していった。
 大学卒業後の3年間はデザイナーとしての電通のサラリーマン生活を経験し、自ら退職し、1976年より画業に専念。展覧会出品を重ねながら、望んでいた自由な創作活動に入り、それにひたすら邁進、専念した。
その後有元利夫は彌生画廊を中心として数々の作品を発表し多くの賞を受けるが、1985年2月24日逝去。岩絵具を使い、風化を意識した絵肌を持たせた静寂感のある有元の美しい作風は今も多くの人々を魅了し続けている。
代表作は「花咲く頃」 1982



1978年には「花降る日」で具象絵画の登竜門といわれる安井賞において初の特別賞を受賞、さらに1981年には「室内楽」にて安井賞を受賞し、その作品は高く評価され、将来を期待されながら絵画に止まらず幅広い才能を発揮させながら活躍した。
(奈義町現代美術館での有元利夫展のパンフより 1998.11)










所有している版画
 版画集「一千一秒物語」から
  97.TOUR DU CHAT-NOLR

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