慢性頭痛
頭痛は,だれしもが多かれ少なかれ経験するごくありふれた症状の一つだ。その原因は様々であるが,「脳腫瘍ではないか」「くも膜下出血の前触れではないか」と不安 にかられて外来を訪れる人も少なくない。しかし,くも膜下出血や脳腫瘍などによる器質性頭痛は,頭痛全体からみればごく少数で,ほとんどは慢性頭痛あるいは機能 性頭痛と呼ばれる生命に別条のない頭痛である。 慢性頭痛は一次性頭痛とも呼ばれ,原因となるはっきりとした基礎疾患がない。その代表的なものが,緊張型頭痛と片頭痛である。これらの頭痛は,CTやMRIなどの 検査で異常が見つからず生命の危険がないため軽視されがちだが,痛みや不安感から日常生活に支障をきたしている場合が多いので,患者の話をよく聞いて的確な診断 と治療に努める必要がある。 緊張型頭痛の原因は精神的ストレス
慢性頭痛の中でも最も多いのが,緊張型頭痛である。頭頚部を包んでいる筋膜や腱膜が異常に収縮して起こるもので,後頭部から首筋にかけて重苦しく締めつけられ るような痛みが現れ,ひどいときには吐き気を伴う。両側の前頭部や側頭部に起こることもあり,「鉢巻きで頭を締めつけられるようだ」と患者が表現することがある。
このような痛みをもたらす頭頚部筋肉の異常収縮は,多くの場合,精神的緊張やストレスが引き金になって起こる。これはストレスから自然に身を守る生体の防御反 応の結果だ。例えば,亀をつついて驚かすと首を縮めて甲羅の中に頭を隠すように,人間もストレスを感じると頭頚部の筋肉が収縮して身を守ろうとする。
その結果生じた頭痛はストレスを自覚させる警告信号とも言えるわけである。また頭痛に対する不安感からさらに筋肉が収縮し痛みに敏感になるという悪循環が生じることもある。 そのため,緊張型頭痛の患者に対しては,痛みが精神的緊張やストレス,不安感からきていることを認識させ,適度の飲酒や運動,趣味など個々の患者に合ったストレス 発散,リラックスできる環境を見いだすよう促すことが重要だ。また筋肉が細く肩こりによる頭痛が起こりやすい 頓用薬は連用させない
慢性頭痛の中で次いで多いのが片頭痛である。血管性頭痛とも呼ばれ,脳や頭の皮膚の血管が異常に収縮したり拡張したりすることで生じる。緊張型頭痛と異なり, 発作性,拍動性に痛みが起こるのが特徴だ。その頻度は様々で,1年に1〜2回という人もいれば,週に3〜4回という人もいる。発作時には吐き気や嘔吐,羞明,光や音 への過敏などの症状を伴うため患者は不安に陥りがちだ。
また,頭痛の前にキラキラとした星が見えたり,視野がかすんだりすることもある(視覚性前兆)。
片頭痛の治療は,発作の頻度により異なる。発作が1ヵ月に数回以上ある場合には,Ca桔抗薬などの予防薬を服用させるのがよい。一方,1年に1〜2回程度しか発作 が起こらない場合には,日常生活で発作を招くような要因をなるべく避けながら,頭痛が起きたときだけ発作を抑える頓用薬を飲むようにさせるとよいだろう。 ただし,頓用薬の使用には十分注意する必要がある。
片頭痛の激しい人だと,痛みから逃れたいためについ頓用薬を連用してしまうことが多いが,週に2,3回以上服用するとかえって薬剤誘発性の持続的な頭痛が生じるこ とがある。頓用薬の服用は週に2回程度にとどめるよう指導したい。
片頭痛の場合も,精神的ストレスや過労が原因で発作が起こりやすい。緊張型の場合と同様,ストレスの発散法やリラックス法を指導するとよいだろう。また,チー ズやチョコレート,ワイン,柑橘類などに含まれる成分が引き金になることもある。毎日の食事と発作が起きた時間などを日記につけて,頭痛の誘因となる食べ物を調 べてそれを避けるよう注意するのもよいだろう。 慢性頭痛を和らげるには
慢性頭痛、特に筋緊張性頭痛は、精神的緊張やストレスが原因になって頭部の筋肉が収縮して起こることが多いので、まず精神的緊張やストレスから自分の体を解放してあげることです。
カラオケや運動なども楽しければどんどんやった方が良いでしょう。
起床時や昼の休憩に、ストレッチやラジオ体操を行うのも効果的です。例えば、緊張型頭痛に関与する僧帽筋や側頭筋、前頭筋を直接ほぐして血行をよくする体操などを試みてください。
(平 考臣 日経メディカル 2000年2月号)
後頭部頭痛後頭部、頭頂部、こめかみ、耳の中、耳の後ろ等に突然痛みが起こる疾患です。 左右どちらかに痛みが生じる場合もあれば、両側ともに痛みが生じる場合もあります。
神経が筋肉に圧迫されることが原因の一つと考えられており、猫背や長時間のパソコン操作、スマホ使用時の悪い姿勢が原因で起こるケースが多いようです。肩こりがあると起こりやすくなる場合があります。
ビリっと電気が走るような痛みや、痛くないときもしびれのような違和感を感じることもあります。