ドライアイと眼瞼けいれんの関係


眼の乾きの原因は眼瞼けいれんの可能性も
(2012.1 Nikkei Medical 29ページより)

 ドライアイと診断して治療しても長期間改善しない症例では、眼瞼痙挙が原因で眼の乾きを訴えている可能性がある。
 眼瞼痙挙は、眼輪筋など眼瞼周辺の筋肉が過剰に収縮することにより、不随意的に瞼を開けられなくなる疾患だ。
原因が不明な本態性眼瞼痙學と、薬の内服や化学物質などの曝露によって生じる2次性の眼瞼痙挙に分けられる。本態性眼瞼痙挙の大半は40歳以降に発症し、女性に多い。
 眼瞼痙挙の発症機序は明らかになっていないが、大脳基底核や視床、脳幹などにおける神経伝達異常によると考えられ ており、眼科以外にも神経内科、脳神経外科、精神科などで治療されている。ただし、疾患や治療法の認知度は高くないのが現状だ。
このため、日本神経眼科学会は11年7月、「眼瞼けいれん診療ガイドライン」を公表した。
 眼瞼痙挙患者では、約半数が眼の乾きを訴えるとされている。ガイドラインによれば、国内・海外ともに眼瞼痙挙患者の4割以上が前医でドライアイの診断を受けていたという。またドライアイと診断され、種々のドライアイ治療に抵抗する患者の57%が眼瞼痙挙だったとの報告もある。
 眼瞼痙挙の診断には瞬目テストが有効だ。 10〜30秒程度速い瞬きを連続して行わせる「速瞬テスト」や、軽い瞬きを行わせる「軽瞬テスト」などを組み合わせ、瞬きができなかったり、顔面筋に挙縮が見られたら陽性と判定する。

◎現在の治療の第1選択はA型ボツリヌス毒素の筋肉内注射。
効果は3〜4ヵ月で消失するため、定期的な注射が必要だ。このほか抗てんかん薬や抗不安薬などの内服、眼輪筋や眼輪皮膚切除などの外科的手術も行われている。

A型ボツリヌス毒素は保険適応になっている。作用は確実でほぼ100%効果が認められている。
医師が使用するためには薬事法に基づく承認条件としてポツリヌストキシン療法研究会などが主催する講習会の受講を医師に義務づけている。量の管理も難しく、厚生省に報告が必要。他の症状に対しても適応が増えたが、抗体出現による作用減弱が問題になってきている。

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