ツツガムシ病


 つつが虫病はかつて北日本の日本海側で見られる風土病だったが、今は北海道、沖縄を除く全国で発生。年間300〜500人が発症し、数人が亡くなっています。東北では春から秋にかけて患者が多です。

特徴と予防
★山形県衛生研究所によると、つつが虫病は病原体(リケッチア Orientia tsutsugamushi)を持つツツガムシの幼虫に刺されることで発症します。リケッチア症
 ツツガムシは体長0.2〜0.5ミリで、山林や原野、河川敷などに生息する。
 ツツガムシは、ダニ目ツツガムシ科に分類されるダニの一種です。日本に生息するツツガムシ科に属するダニは、約100種類となっています。
 ツツガムシが生息する地域は、種類によって異なりますが全国にわたって広く分布しています。  刺されるのは、衣服で隠れた皮膚の柔らかい部分が多いです。孤立性に散在、ないし多発します。
 5〜14日程度の潜伏期間を経て38〜40度の高熱、全身の倦怠(けんたい)感、頭痛など風邪のような症状が現れる。
 発熱から2〜5日後には、全身に粟(あわ)粒ほどの赤い発疹が広がり、刺された部分に近いリンパ節が腫れる。刺し口には1センチほどのかさぶたができます。  

 抗生物質は効果があり、早期に治療すれば完全に回復するが、治療が遅れると死に至ることがある。有効なワクチンは開発されていません。
 第 一選択薬はテトラサイクリン系の抗菌薬であり、使用できない場合はクロラムフェニコールを用いる。βラクタム系抗菌薬は無効です。
 感染を防ぐため、農作業やキャンプでは長袖、長ズボン、長靴や手袋を着け、帰宅後はすぐに入浴して体を洗い流すとともに衣服を洗濯しましょう。
   ※リケッチアを持っていないツツガムシでは多くの場合、皮疹は幼虫が吸着して1〜2日で出現し、2〜3日後にピークとなって、以後は次第に軽快します。

★黒い刺し口があれば要注意
 皮膚にダニのようなものが付着していたらどうすればいいか。宮城県疾病・感染症対策課の担当者は「体液や病原体を体内に取り込まないよう、つぶさずに取り除くことが重要」と説明する。ツツガムシは子どもの頭やペットにも付くことがあるという。
 野山に入った後に体調を崩した場合は注意が必要だ。「刺し口があざのように黒くなるのが風邪との大きな違い。病院で患部を見せて早めに処置を受けてほしい」と県疾病・感染症対策課の担当者は呼び掛ける。
 つつが虫病のほか、屋外に生息するマダニも重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、日本紅斑熱、ライム病などの感染症を媒介する。
 いずれも肌の露出を少なくすることが効果的だ。野外活動では草むらややぶに潜む「敵」にくれぐれもご注意を。
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