注意欠如(欠陥)多動性障害(ADHD)


注意欠如(欠陥)多動性障害(attention deficit hyperactivity disorder;ADHD) とは
 原因はよくわかっていません。
 脳の機能的障害、発達の問題に起因すると考えられています。脳のドパミンという物質が不足しているといわれています。
 頻度は学童児の3~7%といわれています。(米国精神医学会)

症状
 集中力の欠如、落ちつきがなく動き回り、じっとしていることができない(多動)
 順番をじっと待てず、否定や制止されるとかんしゃくを起こす、思いついた行動を唐突にとる(衝動性)
 ものごとに集中できず忘れ物が多い(不注意)
 を主徴とする病態です。
 将来的には成長に伴い改善することも多いのですが、30%程度の児は成人後も何らかの症状が残ることがあります。
 自閉症、アスペルガー症候群、学習障害などの合併や反抗的行動、非行や問題を起こす例もあります。

治療

  治療には環境調整などの社会的治療と薬物治療があります。学校や職場の環境調整により成功体験を積み重ね、ほかの精神疾患を併発するなどの二次障害を予防することが重要です。

心理社会的アプローチとして対人関係能力や社会性を身につけます。環境を変えたり、周囲が対応を変えたりしながら学校にきちんと知らせて学校の協力体制をお願いすることが重要です。

薬物治療としてはメチルフェニデート、アトモキセチン、グアンファシンの内服が有効な場合もかなりあります。

メチルフェニデート塩酸塩(コンサータ錠) 中枢神経を刺激して、ドパミンやノルアドレナリンを増やし、ADHDの不注意や多動などの症状を抑えます。
トランスポーターに結合してドパミンやノルアドレナリンが再取り込みされるのを抑制します。
アトモキセチン(ストラテラ) 選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤です。1980 年代にノルアドレナリン神経系の機能異常が(ADHD)の原因であるという理論が提唱され、外国で ADHD 治療薬としての臨床試験が開始されました。
ADHD における有効性・安全性が確認され、ADHD の治療薬として一般的に用いられてきた中枢刺激薬とは異なる薬理学的特性を持つ治療薬です。
薬の種類として ストラテラカプセル 内用液があります。
グアンファシン塩酸塩徐放錠(インチュニブ)前頭前皮質の錐体細胞の後シナプスに存在するα2A受容体を選択的に刺激することで、シナプスを増強させると考えられています。
1日1回投与。副作用は1ヶ月くらい眠くなる、体がだるい、ぼーっとするなどの可能性があります。

※子どもたちが現在、テレビゲームやスマートフォンにさらされ言葉や文字に触れる機会や対面での会話が減っていることが、発達障害の増加の一因になっているという見方もあります。
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