自閉症スペクトラム障害(広汎性発達障害)ASD


自閉症スペクトラム障害(広汎性発達障害) とは
 発達障害の一つであり、脳の機能的障害を超こすような何らかの原因があると考えられていますが、特定はされていません。  家庭環境、教育方法の問題は否定されています。
 2013年に米国精神医学会「精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM)」が更新され、それまで広汎性発達障害に含まれていた自閉性障害、アスペルガー障害などが自閉スペクトラム症として称されるようになりました。
 頻度は100人〜150人に1人、3歳までには発症し、男児が女児に比べて3倍から4倍多く発症します。10年以上前に比べると2〜3倍に増えているということです。
症状
以下の特徴のある3徴候が重要です。
 1)社会性の障害(対人関係の質的障害、人と関わることの苦手さ)
   対人関係の質的障害
    視線が合いにくい、集団遊びができない、一人遊び、呼び名無視、共感性欠如、指差しをしない、ジェスチャーを使用しない、自分の興味を持った物を見せに来ることがない、クレーン現象、同年齢の子どもとの友達関係に興味が少ない、などがあります。
     ※クレーン現象:クレーン現象とは、子どもが何かをしてほしいときに、相手の手を引っ張ってその何かを達成しようとする動作のことです。
 2)コミュニケーション能力の障害(言葉の発達の遅れ)
    言葉の遅れ、言葉が出ても会話ができない、会話が持続しない、自分の興味のあることを一方的に話す。言葉の地面通りの解釈、奇妙な話し方(平坦な話し方、アクセント、イントネーションの奇妙さ、共通語を話すなど)、模倣動作の乏しさ、ごっごあそびの障害などがあります。
 3)想像力の障害による強いこだわり(興味の広がりにくさ、環境変化への過剰な不安
    常同的な単純な繰り返しの動作、アニメや物語の世界に入り込む、こだわり、融通のなさ、儀式化したパターンの行動様式、限定された興味の範囲、物への執着などが見られます。
    高機能自閉症では一般にこだわりは軽くなります。精神的ストレスが亢進したり、混乱すると明らかになってきます。
 また、多くの例で精神発達遅滞を合併します。

 このうち知能・言語発達は正常で、社会性の障害、強いこだわりがみられるものをアスペルガー症候群と呼んでいましたが、「DSM-5」ではアスペルガー症候群は自閉症スペクトラム障害に合まれるものとして一本化されています。

 アスペルガー障害では一般的な認知の障害はなく、表出性言語の発達に遅れはないのですが、聴覚性言語理解は良くなく、言語の裏が読めず、皮肉や比喩表現、冗談などの理解が困難です。社会相互関係の障害、こだわりは小児自閉症と同様です。
 
治療
 自閉スペクトラム症の治療は、根治的な治療薬はありませんが、薬物療法の前に行動療法などが優先されて行われます。対人関係の訓練、教育などの早期からの対応が必要です。病気に伴う行動障害については、いくつかの神経伝達物質が関与し、中度から重度の行動障害にはドパミン神経系の関与があることがわかっています。
 抗ドパミン作用を持つ抗精神病薬は、興奮性(易刺激性)に対し有効であることが確認されており、一般的に抗ドパミン作用を主体とした抗精神病薬が経験的に頻用されています。米国では自閉性障害に伴う易刺激性に対して2006年に初めて非定型抗精神病薬が承認され、2009年には「エビリファイ」が同適応症の承認を取得しています。日本では1982年に定型抗精神病薬が自閉性障害の異常行動などに対して承認されましたが、副作用が多いことから小児の患者さんが使用するうえで安全性の課題がありました。
 

 自閉症は早期発見が重要と言われています。早期に発見し児の成長に合わせて適切な療育を行い、併せて保護者の精神的な負担を軽減するという目的もあります。

 薬物療法
  基本的に薬物療法はありませんが、適応障害などの二次障害や合併精神・神経疾患が対象として使用することがあります。
  リスペリドン(リスパダール)
   リスペリドンが第一選択です。
   作用・効果:中枢神経系に作用するドパミンD2受容体とセロトニン2A受容体の遮断作用が特徴です。
   不安、緊張などの症状をしずめ、精神の不安定な状態を抑え、気力や関心のもてない状態を改善させます。
   通常、統合失調症、小児期(原則として5歳以上18歳未満)の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の治療に用いられます。
    0.25mg〜0.5mg/日 で開始 3mg/日
   ※古いタイプの向精神薬(ハロペリドール(セレネース)など)に比べて錐体外路症状や抗コリン作用、鎮静作用などの副作用が少ないといわれています。
  アリビプラゾール(エピリファイ)
   脳内の神経伝達物質であるドパミンなどの受容体に作用し、幻覚・妄想などの症状を抑え、不安定な精神状態を安定させるとともに、やる気がしない、何も興味が持てないといったような状態を改善させます。また、抑えることのできない感情の高まりや行動などの症状を改善します。
       通常、統合失調症の治療、双極性障害における躁症状の改善、うつ病・うつ状態の治療、小児期(原則として6歳以上18歳未満)の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の治療に用いられます。
    1回1〜15錠(主成分として1〜15mg)を1日1回服用します。開始用量は1錠(1mg)。症状により適宜増減。増量幅は1日最大3錠(3mg)とされ、1日服用量は15錠(15mg)を超えないようにします。
前の画面に戻る
禁転載・禁複製  Copyright 1999 Senoh Pediatric Clinic All rights reserved.