IgA 血管炎 アナフィラクトイド紫斑病

IgA血管炎 (Henoch-Schonlein 紫斑病)

2012年よりIgA血管炎と呼ばれるようになりました。以前はアナフィラクトイド紫斑病、アレルギー紫斑病、シェーンライン・ヘノッホ紫斑病、血管性紫斑病などと呼ばれていました。アレルギー反応の結果おこった、血管炎と考えられています。紫斑のほか、腹痛、関節痛、腎炎をおこします。

症状
4〜6歳の子どもに多く、男児が女児の2倍の頻度でみられます。1万人に1人あたりといわれています。発症する1〜3週間前にかぜや溶連菌症などがみられることがあります。
紫斑は1〜5oくらいのややとがったもので、茶褐色の色調で紫斑と言っても紫のものはあまりありません。特異的な紫斑と考えられます。下肢を中心に上肢、臀部にもみられます。ほとんどは下肢のもので始まります。
腹痛はかなり強く訴え、ときに便中に出血する事があります。肉眼的血便のこともあり、また、便潜血が半数以上あるという報告もあります。腸重積を起こすこともあります。
関節痛、関節炎はいろいろな関節がはれ、痛みを訴えます。約80%以上あるといわれています。足関節や膝関節に痛みを起こすことが多いようです。手関節、肘関節にも起こることがあります。
下肢では両則が多く、痛みのため歩けないこともあります。関節ではありませんが、下肢の痛みを訴えることもあります。
頭部、顔面、四肢にクインケの浮腫と言われる限局性浮腫がみられることがあります。
腎炎を合併することがあります。血尿は25〜50%くらいにみられます。

診断
特異な紫斑ですので診断はそれほど難しくありません。しかし、3分の1近く、強い腹痛の後、紫斑が出ることがあり、この場合は診断がつきにくいことがあります。

治療
溶連菌症があった場合はペニシリン等の抗生物質を使用します。浮腫、疼痛があれば安静を保ちます。関節痛が強い場合は非ステロイド抗炎症薬を使用します。関節痛、腹痛が強い場合は副腎皮質ホルモン剤を使用します。
腎炎を合併しているときには慢性腎炎に移行することがあり、小児腎臓専門の施設できちんと治療してもらいます。

予後
大部分は1〜2ヶ月でよくなります。1年以上反復することがあります。
腎炎をおこす場合は紫斑が出現してから1ヶ月以内に80%、1〜2ヶ月で20%が発症し、4〜6ヶ月以内にタンパク尿、血尿を認めることが多くなります。一部、1年位して尿所見の異常を認めることがあります。
経過中に20〜54%に腎症状を合併するといわれており、数ヶ月で自然治癒することもありますが、約5%で紫斑病性腎炎となり、また、急速進行性腎炎や末期腎不全に至る例もあるようです。
しばらくは検尿などを定期的に調べておく必要があります。
腸穿孔や大量消化管出血で危険な状態になることがあります。

※検査
 PT APTT
 血管炎マーカー 第13因子、FDP、Dダイマー(D-dimer)などを測ります。
  第13因子はフィブリン安定化因子とよばれ、止血凝固系の最終段階でフィブリン間のクロスリンクを促進し、安定化フィブリン塊を保ち、過激な線容現象を防ぎながら止血を維持しています。
  FDP(fibrin/fibrinigen degradation products)フィブリン/フィブリノーゲン分解産物)      
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