脱毛症


脱毛症とは
通常は量が保たれている毛髪が、何らかの原因で生理的な範囲以上に抜けると毛髪量は減少します。これを脱毛症と呼びます。
臨床形態から先天性と後天性さらに限局性とびまん性に分類されています。
先天性脱毛症では、脂腺母斑上に生じた脱毛や先天性三角形脱毛などの限局性脱毛、遺伝的要因による先天性無毛症や乏毛症などのびまん性脱毛症が見られます。後天性脱毛症をきたす原因は多岐にわたっています。


後天性脱毛症
限局性
円形脱毛症
 原因不明の後天性脱毛症です。頭部をはじめ全身の毛髪の存在するあらゆる部位に発注してきます。突然に脱毛をきたし、円形の脱毛班を生じます。
人口の1〜2%に発症するといわれ,どの年代でも発症しますが、その1/4が15歳以下で発症するとされています。男女間に性差はありません。
 本症の発症には以前より精神的ストレスが関与しているといわれていますが、その明確な機序は現在のところ明らかではありません。
最近ではアレルギー説,自己免疫説が有力とされています。
 突然、円形〜不整形の脱毛斑が生じ拡大していきます。 活動期にある病変の周囲では毛髪は容易に抜去され、皮膚表面に異常を認めません。
回復期には脱毛巣の中心部より軟毛が出現し、次第に硬毛化します。新生毛は白毛であることが多いのですが、この白毛は次第に色素をもつようになることが多いのです。一般に自覚症状はないといわれておますが、軽度の?痒やチクチク、ピリピリするなど軽度の疼痛を自覚することもあります。  本症は脱毛巣の数、範囲により、
@通常型(単発型:脱毛斑が単発のもの、多発型:複数の脱毛班を認めるもの)
A全頭脱毛症:脱毛巣が全頭部に拡大したもの
B汎発性脱毛症:脱毛が全身に拡大するもの
C蛇行性脱毛症:頭髪の生え際が帯状に脱毛するもの
の四つに分類することができます。
 軽症例では、局所の血流を改善させる目的で用いるカルプロニウム塩化物水和物や副腎皮質ステロイド含有外用薬の外用と、網内系賦活剤であるセファランチン、グリチルリチン、抗アレルギー薬などの内服とを組み合せて治療が開始されます。
しかし、これらの治療でも数カ月発毛がみられなかったり、全頭型や汎発型の場合には、PUVA(Psoralen ultra violet A)療法、液体窒素冷却療法、副腎皮質ステロイド局注療法、squaric acid dibutylester (SADBE)を用いた局所免疫療法などが行われています。一般的に、単発型や多発型でも急速に拡大しない症例は予後が よいとされ、全頭型や汎発型は難治とされています。また,一度発毛しても再発することが多く、完全に治癒させることは困難な疾患とされています。
 


抜毛症
 抜毛症(trichotillomania)は,1989年にフランスの皮膚科医HaHopeauによって名づけられた疾患で,抗しがたい衝動により,自ら毛髪を引き抜くことで脱毛病巣を生じる疾患です。
小学生から中学生にかけての学童期の発症が多く、性差は女性に多いとされています。また家族内発症も報告されています。
 病因は発症年齢によって異なります。幼児期〜学齢期前に発症する例では単なる欲求不満の表現として理解され、一方,学齢期発症例では患者の性格、心因が発症に関与するといわれています。
 症状は頭髪に多いが、眉毛、捷毛などにもみられます。脱毛部は一般的に境界不明瞭で、類円形、帯状、波状などさまざまな形態を呈します。
また、経過中に脱毛部の大きさや形態が変化することもあります。
病巣部には短く切れた毛髪と正常の長い毛髪を不規則に混じ、一般的には円形脱毛症のような類円形の完全脱毛斑にはなりません。
通常、自覚症状はなく、皮膚に紅斑、鱗屑、萎縮などの症状はみられません。
 発症年齢,心理的背景,症状の程度などを考慮して治療方針を決定します。治療は精神医学治療が主体となります。
(文献 64)
治療の項目 株式会社 スヴェンソンのホームページより
※抗アレルギー薬(第2世代抗ヒスタミン剤) 花粉症などのアレルギー症状を緩和する治療薬です。 アトピー素因(アトピー性疾患「アトピー性皮膚炎」、「気管支炎」、「アレルギー性鼻炎」のいずれか)を持った単発型および多発型の患者に、脱毛範囲の縮小が認められています。 セファランチン アレルギー反応を抑制する作用や、血流を促進する作用などがある治療薬です。 脱毛斑の縮小の根拠は薄いとされていますが、国内での診療実績も多いため、単発型および多発型の治療において、他の治療と共に併用されます。 副作用として、胃の不快感や食欲不振などが発生することがあります。 グリチルリチン、メチオニン、グリシン複合剤 グリチロンRという薬は、炎症やアレルギーを抑える作用があります。 科学的な検証は不十分ではあるものの、国内で多くの診療実績があるため、単発型および多発型の治療で使用されています。主な副作用として、血圧上昇や腹痛などが報告されています。 ステロイド内服 炎症や免疫機能を抑える効果のあるステロイドの飲み薬です。 高い効果が実証されている反面、子どもへの使用は行なっておりません。また、ステロイドを飲むことをやめた後に、高い確率で脱毛が再発する危険性があります。そのため、脱毛が広範囲に広がった成人の患者のみに用いられる飲み薬です。 副作用として、肥満、糖尿病、生理不順、消化器不全などを発症する場合があります。 使用を考慮しても良い外用薬(塗り薬など) ステロイド外用 炎症や免疫機能を抑える効果のあるステロイドの塗り薬です。 一般的な治療法として多くの皮膚科で採用されており、国内で豊富な治療実績があります。 毛髪の回復に一定の効果が見られますが、難治例には他の治療法も併用する必要があります。 市販の育毛薬にも含まれている成分で、発毛効果が認められています。
※カルプロニウム塩化物水和物(旧カルプロニウム外用液)
   フロジン液 30ml 1日2〜3回塗布 あるいは全体に塗布してマッサージ。

発毛効果の検証が不十分とされていますが、国内で膨大な診療実績があります。副作用としては、発汗やかゆみ、かぶれ、炎症等が発生する場合があります。 ミノキシジル外用 発毛効果が認められている薬で、血管を拡張する効果があります。 脱毛範囲を縮小する根拠は弱いとされていますが、海外で多くの診療実績ががあります。


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