舌小帯短縮症 ankyloglossia
舌小帯短縮症はできるだけ小さいうちに切っておきましょう
舌小帯短縮症とは
舌小帯という舌の裏側と歯ぐきの内側をつなぐ膜のようになったものが舌の先まで付着し、水かきのようになったものです。舌を前の方に突き出すとき、舌の先端にくびれができ、ハート型またはW字型の舌になります。乳児の1〜3%くらいに見られ、男児に多いものです。ほとんどのものは重要な問題はないのですが、ひどくなると、舌先になればなるほど、舌小帯が短ければ短いほど、哺乳力が弱く、体重増加が悪くなります。このため新生児、乳児期に切っておくという考え方があります。
程度がひどい場合は
1)舌が前に出ないので哺乳しにくくなります。
2)タ行、ラ行、サ行の発音がうまくいかなくなるといわれています。
3)美容上の問題。あかんべーがうまくできません。
4)そのままおいておくと、咳などで舌が前に出たとき、舌小帯に傷がつきどんどん太く短くなります
治療
軽度のものは治療の必要がなく、放置します。舌小帯そのものは少しのびてきて外見上もわからなくなります。
舌の先から5mm以下のものはのびてきても、次第に舌小帯が太くなってきますし、切った方がいいと思われます。この場合は早めに切除をおすすめします。
年齢が小さいほど、舌小帯自体が薄いので、切除後も出血が少なく、安全です。しかし、年齢が大きくなってくると舌小帯が太く大きくなってくるので切除の際、出血も多いし、再びくっつくことがあります。
この場合は縫合、麻酔が必要なので、基本的に3日くらいの入院が必要です。私自身は切る適応があれば小さいときに切った方がいいと思っています。
私は適応がある子は早めに切ることにしています
全国的に小児科医の意見としては切らなくて良いという考え方が多いです。(医学的にはという意味です。)ほとんど無視されているか、スルーされています。
しかしです。
口腔外科の教科書があります。その中に舌小帯短縮症の項目があり、手術の術式や年齢について詳しく書かれています。年齢は1歳から7歳まで、切除した後の縫合の仕方もきちんと記載されています。このように舌小帯短縮症は全く治療しないでいい病気とは違うのです。
赤ちゃんのときに1分ほどで終わることで、その後舌小帯に関してはなにも考えなくていいのです。 子どもの体が大きくなってくるに従い、少しずつ舌小帯も太く、長くなっていきます。目に見えるようになり、美容的にも気になってきます。その状態がずーっと続きます。あのとき切っておいた方がよかったんだろうかとかいろいろ悩みます。大きくなってから切るというのは本人も抵抗がありますし、コストもかかります。しかし一番大切なのは麻酔のことです。後の縫合が必要なため、麻酔が必須なのです。これは大きな問題です。
大きな病院でだいたい2泊3日入院というのが普通です。
大人になって気になっている人が少々おられます。でも手術はいやだからあきらめていると思われます。
切除反対の医師になぜ切らないのとまで思うこともあります。
切除術
膜の中央部、もっとも薄い部分にはさみを入れます。奥に行くに従って太くなっていくので薄く透けた部分しか切除しません。このことで術後の再癒着の可能性が非常に低くなります。
切除は消毒、切除に1分、止血に10分位内でほとんど終わります。出血が止まったら約0分後には哺乳ができます。当日に直ぐにできます。
年間約30例以上、私自身としては35年以上前から切除していますので、1000例以上行いました。
特に問題になった子はいません。
切除後の問題としては出血、再癒着です。実際に出血が止まらなかったことはありません。再癒着は1才半のお子さんに1例ありました。ご希望が強かったので切除しましたが、やはり切除が遅かったと思われます。この児は小児外科にて手術していただきました。
※乳児医療を保証している市町村の方でしたら費用はかかりません。
切除を希望される方へ
切除は約1分で済みます。通常の外来で来院していただければ、そのままできます。ただ、小さいお子さんなので乳児健診の時間が最適です。
その時間にどうしても来院できない場合は月曜日と土曜日を避けてください。火曜日、水曜日午前、金曜日が比較的あいています。
◎「切らなかった方がよかった」と言われたことは一度もありません。
◎良いと考えていることは術後にはご両親は舌小帯のことはもう忘れているのです。もうこのことについて悩む必要がないのです。