先天性股関節脱臼


先天性股関節脱臼は股関節のところで大腿骨の一番上のところ(骨頭部)がはずれているものです。男女比1:5〜9と女児に多く、同じ家系内によく見られます。

原因
家族歴がある場合や体質的な因子、帝王切開、おむつのあて方など出生前後の要因が加わって発生する傾向があります。分娩様式では骨盤位(おしりから)、膝伸展位(下肢をのばした状態)の分娩の場合が多いと言われています。おむつのあて方では三角おむつといって、おむつを巻くようにすることが下肢の自由な動きを妨げることで脱臼がおこりやすくなるといわれています。

症状
脱臼している部位の大腿骨の骨頭にあたるところが少し窪んでいます。寝かせて膝立ちをさせ膝の高さが異なります。大腿皮膚溝(太もものしわ)または鼠径皮膚溝の非対称がある場合も可能性があります。

診断
膝立ちの高さの差、股関節を広げるときに聞かれるクリックサイン(生後10日くらいまで)、開排制限(広げることのできる範囲が狭いこと)などのサインがあればレントゲン撮影をして、確定診断します。整形外科の先生にご紹介をして診ていただきます。

治療
整形外科の先生に治療をしていただきます。
@おむつを股おむつとし、股関節が開いた状態とし、運動を妨げないようにしましょう。
A装具(リューメンビューゲル)をつけます。70〜80%はこの方法で整復することができるといわれています。
これらで整復できなかった場合には
B牽引療法
C手術
などを行います。

予防
生後〜2ヶ月までの間は股関節をなるべく開いた状態に保ち、衣服とかで下肢を延ばした状態にしないよう気をつけてください。子どもの下肢の運動を妨げないようにしておきましょう。
家系に先天性股関節脱臼の方がいる場合、女児の場合には特に注意しましょう。

★小児科専門医から
股関節を広げるチェックをするときは開きかた、柔らかさがポイントになります。大腿部のしわの左右差も気になるポイントです。膝立ちの高さは重要だと思います。少しでも不安があれば整形外科医に紹介します。
臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん) 乳児期は股関節が未発達で、寛骨臼形成不全(臼蓋形成不全)を起こすことがあります。臼蓋骨の形成に左右差があり股関節の左右差が見られます。時間的な経過観察をしてゆきます。発達がきちんとできるようになると左右差がなくなってきます。
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