仮性クループ
仮性クループとはウイルスが感染して、のどの声の出るところすなわち、喉頭部や声門のすぐ下の粘膜がはれることによって、気道が狭くなり、呼吸特に息を吸うときに呼吸困難が起こる病気です。寒い季節になってからおこってくることが多いです。急性喉頭気管炎、急性喉頭気管気管支炎などと呼ばれています。
なりやすい子がいて、繰り返すことがあります。 原因
かぜ症候群をおこすウイルスと同じウイルスでおこります。代表的にはパラインフルエンザウイルス、インフルエンザウイルスRSウイルスなどです。
ジフテリア菌がおこすものを真性クループといいます。
他の細菌でもおこることがあります。
症状
発熱、嗄声(声がかれること)、犬吠様の咳(犬やオットセイが吠えるような咳)、息を吸うときに出る喘鳴(ヒーッヒーッ)、それに伴う呼吸困難が主症状です。幼児に多く見られます。
泣いたり、興奮すると吸気時の喘鳴はひどくなります。また夜にひどくなりやすく、最初の夜ほどひどく、次第に喘鳴は軽快してくる傾向があります。2日目、3日目と楽になってきます。そのまま犬吠(けんばい)様の咳は2〜3日で軽快してきます。しかし、そのご気管炎と思われる咳が痰の混じった咳に変わっていき、咳が長引いてきます。乾いた咳が続くこともあります。
再び熱が出たりする場合は肺炎等の合併症が疑われます。
治療
細くなった部分のはれを軽減するような吸入(アドレナリン)を行います。痰切りなどを投与します。ほとんどはウイルス疾患なので基本的には抗生剤を使用しません。
腫れを取るためにステロイドの内服を行います。ステロイドではデキサメタゾン(デカドロン)のシロップを使用します。
しかし熱が高いとか夜間に呼吸困難が強い場合は入院管理が必要で、酸素投与、輸液が必要になります。
まれに細菌の一種であるインフルエンザ菌によっておこる急性喉頭蓋炎は重症な病気です。至急入院して、治療しなければならない病気ですので、突然、強い吸気性喘鳴、高熱、強い呼吸困難などがあれば至急診察を受けて下さい。
インフルエンザ菌:細菌の一種で中耳炎、気管支炎、肺炎などを起こします。インフルエンザとは関係がありません。
家庭での注意
夜がひどくなるのが特徴です。昼には少し元気でも油断しないでケアして下さい。
保温、加湿が必要です。
水分は多めに与えましょう。
入浴は熱が下がって、咳が軽くなったら、入ることができます。
院長通信
外来でケンケンという咳が聞こえると診断がつきます。最初の夜が一番悪いです。咳が2〜3日目に変わっていきます。これが結構続くので油断が出来ません。