先天性血管拡張性大理石様皮斑 Cutis malmorata telangiectatica congenita
毛細血管と静脈の形成異常によるまれな疾患です。女児にやや多く発症する傾向がありますが、明らかな遺伝傾向はありません。
症状
生下時より主として四肢に片則性に、扁平あるいはやや陥凹した淡い紅色から紫紅色の紅斑が網目をつくり、大理石様の外観を呈します。皮疹部は萎縮性で、潰瘍やびらんを見ることがあります。患側部の四肢は細く、短いことがあり、まれに肥大していることもあります。
合併症
眼、歯、骨、筋肉、心臓などに種々の奇形の合併症が見られます(43-63%)。他に精神発達異常、低出生体重、先天性緑内障、顔面の片則萎縮、静脈拡張、皮膚欠損など。
治療
ほとんどが1年目に著明に改善し、成長と共に、消退してきます。しかし、完全に消失するかどうかは定かではありません。
特別な治療はありません。 他に大理石文様を示す疾患として
網状皮斑
皮膚の末梢循環障害にもとずく紫紅色の網目状あるいは樹枝状の皮疹(リベド)をいいます。
症状 下肢に好発する、網の目の赤紫色の皮斑で、足背、上肢、臀部、体幹にもみられることがあります。
一過性のものは圧迫で消退し、後に色素沈着は残さないです。持続性のものは網状の色素斑を残すことがあります。
皮下結節や小さな潰瘍を形成することがあります。なお網状皮斑の分類はまだ確定していません。
小児に多い大理石文様(大理石様皮膚) 母斑ではありません。
寒冷時に生じ、増強する網の目様文様で新生児、乳幼児や若い女性に見られます。一過性で生理的反応であることが多いです。
補)網の目状紅斑(リベド病変 livedo)
網の目状紅斑は、真皮小血管動脈側の循環障害によって生じる。罹患血管より末梢の血管拡張、うっ血、赤血球漏出、ヘモジデリン沈着、毛細血管増生といった続発性病変が表現された皮疹である。傷害された血管内膜はその修復する課程で硬化し狭窄化するため、なおさら血栓のような病態に陥りやすくなっている。急性の血管炎から動脈硬化病変が繰り返され、特有のリベド病変が形成されるが、その罹患血管の深さや病期によって多くの症状名や疾患名が付けられている。全身的には全く問題ないものから、結節性動脈周囲炎のような死亡率の高い疾患にも生じるので見過ごしてはならない皮疹である。
(文献 13)