環状肉芽腫
環状肉芽腫とは
環状肉芽腫はドーナツ型に片縁が隆起する小結節が出現します。真皮のコラーゲンの組織が破壊され、皮膚に赤みを帯びた膨らみができる病気です。
真皮の膠原繊維の一次的な変性によって生ずる肉芽腫性炎症、変性部位にムチンの沈着と、その周囲の組織球性細胞の増殖が特徴です。乳・幼児にまれではなく女児に多いです。
生下時より存在するか、または生後まもなくして発生して数が増えますが、4〜5歳までに自然退縮します。
発生部位はわずかな外傷、虫刺され、引っ掻き傷や、剃刀負けなどによる外傷によるもの、紫外線、耐糖能異常、金製剤などが誘発されると考えられていますが、発症機序は十分に解明されていません。
または、ツベルクリン反応や、帯状疱疹の瘢痕による外傷も同様に要因に挙げられます。 また、糖尿病を患っている方に比較的起こりやすいとも言われています。
環状肉芽腫は症状により限局型、汎発型など多種類の病気で、皮膚に環状の滑らかな丘疹ができ、専門科としては皮膚科の医師の診断を受けます。症状の種類によって検査法が異なります。
検査方法として、他の肉芽腫と区別するために、皮膚の生検と病理検査をする必要があります。サイコイド-シスを除外するため胸部X線写真や血液検査をする場合もあります。 症状
1)好発部位 足関節、膝関節、手指間接の周囲および被髪頭部。
2)常色調から淡紅色の弾性硬の小結節が生じ、次第に遠心性に拡大、中央が陥凹して周囲が環状に隆起します。通常、自己症状はありません。
3)数は数個からまれに多発。
4)定型疹と非定型疹(皮下型、汎発型、紅斑型、穿孔型など)あります。非定型疹のうち皮下型は小児の頭部、四肢、臀部に後発する皮下結節で骨突出部に生じます。
汎発型は一つの解剖学的部位に限局せず広範囲に発症し、小児と中高年に好発、、半数程度に糖尿病を合併するとされます。紅斑型は隆起のない紅斑で、円形、類円形を呈します。
穿孔型は中心臍窩のある丘疹で潰瘍を形成することがあります。
5) 直径数ミリの硬い皮内結節が環状に配列し、中央が凹む典型的なタイプのほか、皮下の硬い結節で、表面に変化のないタイプとがあります。後者は小児に特有で、足関節の周囲や頭部で見られます。
6)1〜2年で自然しうるか、または再発することがあります。 治療
小児では自然消退が起こるので、経過観察で良いことが多いです。一部生検すると全体が消えることがあります。誘因となっている外的刺激の除去とともに局所療法を行います。
局所療法ではステロイド外用剤など。凍結療法、紫外線療法、全身療法(内服)など。
環状肉芽腫のうち限局型のものは、生検等の外的侵襲によって、時間の経過に従って自然に消退していくことが多く、一般的には発症後2年以内に消退しますが、汎発型のものは自然治癒はしませんので、皮膚科を受診することが必要になります。
汎発型の治療法については、ステロイドが外用で使用されますが、一般的には治りにくく、完治するまで10年近くかかる場合もあります。滲出傾向の少ない特殊な慢性炎症の一つで、環状の外観を呈する紅斑症です。種々の原因による皮膚症状と考えられ、感染症、リウマチ性疾患、内臓悪性腫瘍、胃腸障害などの際に出現します。
小児では比較的少ないようです。 ※早期にはTH1系の免疫応答によるIL-2、IFNγ、TNFαなどのサイトカインの産生、炎症性マクロファージの浸潤・集積により肉芽腫が形成され、治癒過程では抑制性マクロファージが優位となって肉芽腫が消退するとの仮設があります。
※病理組織所見では、病変の中央に膠原繊維の変性(類壊死)を認め、ムチンが沈着。それを柵状に取り囲むようにリンパ球、組織球、類上皮細胞が浸潤して柵状肉芽腫を形成します。
環状肉芽腫で柵状肉芽腫を来すのは25%程度ともいわれ、その他は膠原繊維の変性とそれを取り囲む組織球の浸潤を認める不完全な柵状肉芽腫を呈します。
(文献 14 15)