インフルエンザ菌性肺炎


グラム陰性禅菌であるインフルエンザ菌(b型が多い:Hib)による肺炎で、最近の乳幼児における細菌性肺炎では最も多くなっています。
6か月から4歳の児に多く、5歳以上は多くはありません。鼻咽頭感染が先行して発症することが多いようです。
50〜80%の小児の上気道には常在しているため気道の検体でhibが分離されても気管支肺炎の原因菌として断定するのは難しく、洗浄喀痰培養によって診断します。
鼻咽頭培養では確定できません。

症状
   大粟性肺炎の形をとることが多いですが、気管支肺炎、気管支炎もみられます。症状は肺炎球菌性肺炎に類似しますが,呼吸困難は多くありません。

合併症
   中耳炎,胸膜炎,髄膜炎を合併することがあります。

治療
   アモキシシリン(AMPC) 、アミノペンジルペニシリン(ABPC)が有効ですが,近年耐性菌(BLNAR、BLPACR)が問題となっており、高用量AMPC、アジスロマイシン(AZM)や広域スペクトルのセフェム系抗生物質を使用します。
 内服の効果が期待できなければ静注療法(ABPC、CTX セフォタキシム(セフォタックス)、CTRX セフトリアキソン(ロセフィン))などを行います。

参考 

 市中肺炎の目安
  1.重症度分類で中等症以上
  2.1歳未満
  3.治療薬の内服ができない
  4.経口治療薬で改善が認められない
  5.基礎疾患がある
  6.脱水がある
  7.軽症でも主治医が入院が必要と考えた場合
  

小児市中肺炎重症度分類
軽症中等症重症
全身状態良好不良不良
経口摂取可能不良不可能
SpO2低下なし(96%以上)90-95%90%以下
呼吸数正常異常異常
無呼吸なしなしあり
努力呼吸
(呻吟・鼻翼呼吸・陥没呼吸)
なしありあり
循環不全なしなしあり
意識障害なしなしあり

年齢別呼吸数(回/分) 新生児<60 乳児<50 学童<40
中等症・重症においては1項目でも該当すれば、中等症・重症と診断する

BLNAR βーlactamase negative ampicillin interemediate β-L非産生ABPC中間感受性株
BLPAR βーlactamase positive ampicillin-resistant strain β-L産生ABPC耐性株
BLPACR βーlactamase positive ampicillin/clavulanate-resistant strain β-L産生アモキシリン/クラブラン酸(AMPC/CVA)耐性株

★hibワクチンによりhib侵襲(全身)性感染症は激減しました。しかし、中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、肺炎などの局所気道感染症はhibワクチンの予防効果は期待できていません。

(文献 42、 尾内一信・他監 小児呼吸器感染症診療ガイドライン2017,協和企画、2017) 

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