熱中症


熱中症(hyperthermia)とは
暑熱環境下においての身体適応の障害によって起る状態の総称です。体内の水分・電解質のバランスが崩れ、体温調節機能が破綻して発症します。
 労作性 運動中や作業中に起るもの
 非労作性 日常生活の中で起るもの

体温調節のメカニズム
 視床下部の体温調節中枢でコントロールします
 熱産生・体温維持には代謝・ホルモン・筋肉運動・血管収縮など。

◎発汗
 発汗速度が緩除だと、汗中のNaCLが体外に出るまでに再吸収されます。
 順応していない人は多くても1.5L/hの汗をかき20g近い塩分を失うことがあります。
 普段運動をしていない人が暑い環境で運動を始めると大量にNaを失います。
 順応すると4L/hの汗をかいても5g程度しか塩分を喪失しません。


熱中症を引き起こす要因

症状
重症度によって、次の3つの段階に分けられます。
I度 現場での応急処置で対応できる軽症
       熱ストレス、熱失神 熱けいれん
       めまい 立ちくらみ(脳への血流が瞬間的に不十分になったことで生じる)  失神
       筋肉痛、筋肉の硬直(発汗に伴う塩分、Naなどの不足で生じるこむら返り) 大量の発汗
       手足のしびれ 気分の不快
U度 病院への搬送を必要とする中等症   熱疲労 熱ひはい
       頭痛、気分の不快、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感
       からだがぐったりする、力が入らない、「いつもと様子が違う」程度のごく軽い意識障害を認めることがある
V度 入院して集中治療の必要性のある重症   熱射病
       意識障害、けいれん、手足の運動障害
       呼びかけや刺激への反応がおかしい、からだががくがくとするひきつけがある(全身のけいれん)、まっすぐ走れない、
       歩けない
       高体温(体に触ると熱い。いわゆる熱射病、重度の日射病)
       肝機能異常、腎機能異常、血液凝固障害
 

現場にての対応
  ◎意識があり歩けるようであれば
    まずは涼しい場所に移動させる
    脱衣と冷却(衣服を緩める、水を掛けうちわであおぐ、氷嚢で冷やす
  ◎意識がない、歩けない ⇒ 救急要請
 水分(スポーツドリンクなど)が補給できるか?
   水分摂取不可能 + 摂取後も症状が改善しない ⇒ 医療機関
  

治療
 1)ABCの管理(A=気道確保(Open Airway)、B=呼吸(Breathing)、C=循環(Circulation)を行います。
 2)体温管理(全身冷却)
   直腸温をモニターする 39゜Cを目標
   水を噴霧しあおいだり、扇風機あてます。
   そけい部や腋窩を氷の塊を袋に入れ、徹底的に冷やします。
   冷水に浸す
   解熱剤は無効です。
 3)輸液を行います。
      

熱中症を予防するには

★新型コロナウイルス感染症の問題でマスクをすることにより、熱中症のリスクが高まります。熱中症のリスクが高い場所で安全が確認できる場合はマスクを外す方針も重要です。

(画像は環境省熱中症予防情報サイトより)

(文献 58)

前の画面に戻る
禁転載・禁複製  Copyright 1999 Senoh Pediatric Clinic All rights reserved.