腸重積症 Intussusception
2歳以下、特に6ヶ月前後の乳児に見られる救急疾患です。突然、不機嫌になり、嘔吐、腹痛があり、粘血便が見られます。腸の一部がすぐ上の腸の中に入り込んで、腸閉塞をおこし、腹痛、嘔吐が出現します。
回腸末端が結腸に入り込む回腸結経型がほとんどです。男児が女児より2倍多いです。1000人に1人の頻度です。
原因
ウイルス感染がきっかけになることが多いと推定されています。原因は特定できません。腸リンパ節の腫脹や腫瘍がある場合に腸を巻き込んで腸重積が起こることがあります。
症状
腹痛、嘔吐、粘血便が主です。急に不機嫌になり、顔面蒼白、苦悶状の表情になります。強く泣いたり、おとなしくなったりします。
粘血便は多くは浣腸をすると見ることができます。
時間が経過すると虚血が進行し、腸管壊死や穿孔が起こります。24時間を超えると手術が必要になります。
診断
腹部の腫瘤の触知、浣腸後の血便、腹部超音波検査で診断します。治療をかねて造影剤を肛門から注入するととどまった腸の塊の陰を見ることができます。
治療
バリウムやガストログラフィンなどの造影剤か空気などで、圧をかけることにより、入り込んだ腸を押して元どおりになおします。これを整復といいます。現在は空気による整復が主流です。24時間を超えている場合は整復が難しく手術が必要になることがあります。 整復できたら、そのまましばらく入院して様子を見て、症状が落ち着いたら退院できます。2日目には退院ができます。
院長通信
このところ腸重積の子はあまり多くありません。理由はよくわかりません。
ロタウイルスワクチンの副作用で腸重積が大変まれですが、起こることがあるといわれています。7日から28日間に10万人当たり1〜3人くらいといわれています。その予防のために初回のワクチンを14週と6日までにする必要があります。 ★以前病院勤務の時には1年1〜2人くらいの腸重積を経験しました。主としてバリウムを肛門から入れて全例整復できました。今は空気を入れる方法が主としてされています。手術が必要な児はいませんでした。