心膜炎 pericarditis


心膜炎とは
 心膜炎は心膜の炎症により心嚢液貯留および心室の拡張障害を生じる疾患であり、乾癬、膠原病、先天性心疾患の術後などに合併します。
感染性の場合、周辺臓器(肺炎、膿胸など)と心筋(感染性心内膜炎、敗血症)からの炎症の波及で、免疫疾患の場合は心筋からの波及が多く見られます。
小児の場合、心嚢液貯留で心膜炎に気づかれることが多いのです。

原因
ウイルス性が最多で、コクサッキー、エコー、アデノウイルスなど心因の原因ウイルスが心膜炎を引き起こします。細菌性では黄色ブドウ球菌が最多でインフルエンザ桿菌(Hib)が続きますが、抗菌薬が普及した現在ではまれです。

症状
心膜炎の四徴は
@前胸部痛
A心音減弱
B心膜摩擦音
C心嚢液貯留
です。
前胸部痛は80%で認められ、呼吸、咳そう、体動で増悪、立位で楽になります。
心膜摩擦音は上体前屈で捉えやすく、高調性で心周期と無関係で聴取されます。発熱はほとんど前例で認められ、頻脈、多呼吸とともに重要な所見です。
発熱の程度に見合わない頻脈は、差し迫った心タンポナーデを示す所見であり、注意を要します。心タンポナーデを合併すると全身浮腫、肝腫大、乏尿、血圧低下などを呈します

診断
血液検査では炎症所見の評価と、心機能評価としてhANP,BNP,CK,CK-MB定量の測定が必要です。
胸部X線写真上は阿智亮の心膜液貯留で心陰影の拡大を多く認めます。心電図は広範な誘導におけるSTのしたに凸な上昇が特徴的です。、しかし、多くの場合、心膜液貯留に伴いQRSは低電位となり心タンポナーデをきたすと心臓では周囲の組織からの抑圧が取れ電気的交互脈が見られるようになります。急性心膜炎の最も重大な合併症は心タンポナーデであり、心エコー検査では心嚢液の貯留量だけでなく、貯留速度も重要です。

治療
一般的には、2〜4週の経過をたどり自然治癒することが多いです。急性期は厳密な水分管理と心機能の評価を必要とします。胸痛が強い場合はアスピリン、非ステロイド性抗炎症薬を投与します。細菌性心内膜炎の場合数日で極期に達することが多く、心タンポナーデに対する心嚢穿刺など迅速な治療が必要です。
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