スピッツ母斑(若年性黒色腫) spitz nevus juvenile melanoma
スピッツ母斑とは
主に小児に生じる後天性の色素性母斑の一種ですが、急速に拡大する傾向が強いです。
病理組織で診断を確定しますが、紡錘形細胞、類上皮細胞様細胞、多角巨細胞などが混在します。
臨床的にも病理組織学的にも、しばしば悪性黒色腫との鑑別が重要になります。
診断にはダーモスコピー所見が有用で、ムラサキウニの棘のような黒色線条が放射線状に片縁を取り込み、その先端付近に小球状の黒色色素沈着が見られると典型的です。
原因
色素性母斑の特殊なタイプと考えられる。
症状
乳幼児〜学童期に、淡紅褐色〜黒色の丘疹・結節または不整形斑が突然出現し、比較的急速に増大する。時に、扁平母斑や血管腫の上に生じることがあります。 増大するスピードは速いが良性の母斑性疾患であり、一定以上の増大や遠隔転移をきたすことはありません。 外傷などが誘因とされています。
鑑別診断として悪性黒色腫、色素性母斑、毛細血管拡張性肉芽腫などがあります。
治療
本症を疑った場合は、悪性黒色腫との鑑別のためにも全切除して病理診断を慎重に行います。 保護者への説明ポイント
黒子よりも大きくなる速度が速い母斑で、待っていても自然に治ることはないばかりか急速に大きくなったり盛り上がったりする恐れがあります。病理検査をして診断を確定するためにも切除しておいたほうが良いと説明します。
(文献 66 195-196)