チック症


チックとは
チックは急速で意識することなく繰り返す筋肉の運動のことで、一時的なもの、持続するもの、部分的、あるいは広い範囲で起こるものと様々なものがあります。
チックは常に同じ動きをし、意識的にもそれをコントロールすることができます。心因性のもの、あるいは感情的な興奮を伴ってきます。
5〜7歳頃に発症する子が多く、男児によく見られます。目をぱちぱちさせ、頬の筋肉をぴくぴくさせ、しかめ面をするのが一般的です。このほかせきばらい、頭を振る、肩をあげる、腕や足を屈曲させるなどの症状が見られることがありますが、大体は首から上の症状が多く見られます。一過性で、数週から数ヶ月で消失しますが、再発を繰り返して、長期間続くこともあります。発生頻度は10%程度といわれています。
併発症として強迫症(obsessive-compulsive disorder:OCD)、注意欠陥・多動症ADHDがあります。

原因
家族内の葛藤、両親の離婚、父または母親の病気、兄弟の誕生などをきっかけに、また、幼稚園や学校などでの発表会や運動会などの行事の前などの時にも見られます。
環境だけでなく、素因のあることも重要です。慢性の経過を示すチックの子どもの家系内に高率にチックを認めます。チックの子どもは不安、心理的緊張、行動への過度の緊張が見られ、常に精神的過緊張状態にあるといわれています。

治療
軽症のチックは数週から数ヶ月で自然に治癒しますので薬などは使用しません。大切なことは子どもに意識させないように気をつけることです。チックを見てもそれを気にせず、意識させず、親や教師はそれを無視するようにします。子どもを取りまく環境に気をつけて、精神的緊張をつくる要因が何かを調べ、見つかればこれを除去するようにつとめましょう。

トゥレット症候群
重症複雑型のチックです。はじめ軽症のチックで発症しますが、その後急速に肩、四肢、体幹など、体の他の部分にも広がるものです。これに音声が加わるものです。ときにはジャンプをしたり、ものを蹴るような足の動きが加わることもあります。これを運動チックといい、これらに音声(発声)チックが加わわり1年以上続くものをトゥレット症候群と呼びます。
トウレット症候群は治りにくいもので家族ガイダンスや心理教育および環境調整が必要で、薬物療法を行うことが必要となります。 この場合、小児精神科の医師を受診するのが一番良いのですが、大変その数が少ないので発達などよく見てくれる小児神経科の医師を受診して相談してみていただきます。
トゥレット症候群に対する薬物療法
我が国では保険適応がないのですが、
リスペリドン(リスパダール)
 作用・効果:中枢神経系に作用するドパミンやセロトニンの機能を調節して、ブロックし、過剰なドパミン遮断を和らげます。不安、緊張などの症状をしずめ、精神の不安定な状態を抑え、気力や関心のもてない状態を改善させます。
 通常、統合失調症、小児期(原則として5歳以上18歳未満)の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の治療に用いられます。
アリピプラゾール(エピリファイ)1.5〜3mg/日 9〜12mg/日 
を目安に漸増する間に効果がでることが多いといわれています。
チックおよび併発するADHDに対する薬物としてクロニジン(カタプレス)、グアンファシン(インチュニブ)があります。


前の画面に戻る
禁転載・禁複製  Copyright 1999 Senoh Pediatric Clinic All rights reserved.