尋常性疣贅(verruca vulgaris) いわゆるイボ


ヒトパピローマウイルス(human papilloma virus :HPV)による上皮腫様変化です。90%以上が尋常性疣贅で男女比は1対1。8歳をピークに6〜12歳までが多いです。
このウイルスによる疣贅には次のような臨床型があります。
 1)尋常性疣贅 verruca vulgaris
 2)足蹠疣贅  V.plantaris
 3)糸状疣贅 V.piliformis
 4)扁平疣贅  v.plana
 5)尖圭コンジローマcondyloma acuminata

尋常性疣贅
症状
1)好発部位:手指背,爪の周囲など四肢の末端,次いで顔に出てきます。
   爪囲疣贅 尋常性疣贅は手足など微少な傷に接触感染し、表皮細胞内で増殖します。受けやすい部位に生じ、表面がガサガサした角化性小丘疹。逆はげに一致して生じることも多いです。
   潜伏期間は長く、1〜6ヶ月に及びます。 2)はじめ水泡のように見える半米粒大の小結節が徐々に拡大していきます。
3)増大すると表面のざらざらした,灰褐色、皮膚面から顕著に盛り上る結節となります。
4)単発,普通は次第に増加してきます。周囲に増殖してきます。
5)大きな結節の周囲に小さな疣が衛星状に生ずることがあります。

足蹠疣贅
 疣贅が足蹠にできると皮膚面から盛り上らず,鶏眼(うおのめ)と間違えやすくなります。しかし次の2点で区別できます。
1)発生部位:かかと,趾根部,趾腹にできます。鶏眼では趾の側面など靴の圧迫部位が多いです。
2)表面の性状:細かい乳嘴(にゅうし:乳頭)状.表面の角層をメスでけずって,黒い出血点が見えれば確実です。足踏ないし手掌の疣贅は多汗症の学童に多いです。

ミルメシア
 従来足底疣贅とされていた中に原因がHPV1の特異的な疣贅があることがわかり、ミルメシアの病名で区別されることになりました。ドーム状丘疹。頂上部が陥凹し、発赤と痛みを伴います。
 小児に鶏眼様皮疹を認めた場合、ミルメシアの可能性が高いです。

尖圭コンジローマ
 性感染症で、若年化傾向が危惧されています。潜伏期2〜3ヶ月。小児期で見ることもあります。状況によっては産道感染、保護者、周囲の大人の手指を介した感染や性的虐待の可能性があります。
 乳幼児の肛囲,外陰部粘膜に丘疹、結節が大きくなると鶏冠状やカリフラワー状のような状態になります。紅色または灰白色のやわらかい乳頭状の結節が多発します。

扁平疣贅
 学童でははまれではありません。尋常性疣贅と併発することが多いです。
1)好発部位:顔,とくに額,頬および手背
2)扁平に盛り上り,表面は平ら。
3)色は鴬色,灰白色および赤味を帯びるものもあります。
4)形は不規則な円形ないし多角形。
5)多発することが多く,一部は融合し,一部は掻破のため線状に並びます(線条配列)。これをKobner現象(ケブネル)といいます。
6)ときに表面にうすい鱗屑が付着
7)自覚症状はありませんが、ときに軽いかゆみがあります。

疣贅状表皮発育異常症epidermodysplasia verruciformis
 家族性.発疹は青年性扁平疣贅に似ていますがはるかに大きく,かつ広範囲に生じます。細胞性免疫に異常があり,症例の約1/7に有教細胞癌が病巣から発生します。

治療
尋常性疣贅は自然治癒があります。2ヶ月で23%、3ヶ月で30%、2年で70%前後が自然治癒したという報告があります。多発した扁平疣贅が一斉に発赤、腫脹や疼痛などの症状を呈した場合、通常その数週間後に自然消退します。暗示療法も有効な場合があります。
1)液体窒素療法:もっとも簡単で有効な方法.尋常性疣贅と尖圭コンジローマにとくに効果的です。綿棒に液体窒素をひたし,病巣に当てて凍結と融解を数回くり返します。
  扁平疣贅ではごく軽く当てますが、顔の病巣では色素 沈着の残ることがあります。足蹠疣贅では効果に乏しく,予めメスで表面をけずるか,スピール膏で軟化してから凍結させます。
 ★実際に複数出てきて自然にはなかなか治りません。本治療を積極的にいたします。皮膚科の先生にお願いします。
2)電気凝固法:尖圭コンジローマに有効.深くすると瘢痕となり,浅いと再発します。手掌疣贅は瘢痕となりにくいですが,足蹠疣贅には行わないほうがいいです。
3)プレオマイシン局注:液体窒素療法で治らない場合に行いますが爪の周囲の疣贅には禁忌。ブレオマイシン15mgを生食30mlに溶解し,その0.1〜0.2mlを病巣内に局注します。痛みが強いです。
4)強カネオミノファーゲンC静注:扁平疣贅に有効なことがあります。
5)ヨクイニン錠(ハトムギ)内服:上記の療法と併用することがあります。
6)サリチル酸外用療法。
7)活性型ビタミンD2軟膏外用療法。ODT 「痛くない子どものための治療法」とし広められています。

(索引 14  小児科診療 78:1611−1614、2015)


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