帯状疱疹 Zoster


帯状疱疹は水ぼうそうにかかったことがある子が、皮膚の一部に水ほうをつくる病気です。水ぼうそうのウイルス(水痘ー帯状疱疹ウイルス:VZV)は初感染のとき、血行性および知覚神経を逆行して脊髄後根などの知覚神経節に到達し、神経節のサテライト細胞に潜伏します。
VZVに対する特異的細胞免疫が低下すると、潜伏していたVZVが再活性化して帯状疱疹が発症します。
主として過労、ストレス、重症感染症、悪性腫瘍などの抵抗力が落ちたときなどに発症します。
潜伏していた神経支配領域に発疹が出てきます。三叉神経、肋間神経などが好発部位で、一定の神経支配領域に丘疹、小水疱が集まってできます。
小水疱は中心に臍(中心臍窩)を持ち、次第に膿疱化し、乾燥し、2週間ほどで痂皮化します。炎症が強い場合はびらんや潰瘍を形成することもあります。
背中などにある小さな水ほうが集まってできます。だいたい体の半分側にできます。大人ではかなり痛がります。1週間ほどでかさぶたになって治ります。背中にでることが多いですが、胸や顔、腰など等にも出現します。 痛みが強く残ることがあります。最近では頻度が高くなっています。

治療
水ぼうそうのウイルスを抑える抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル)を使います。軽い場合はアズノール(ジメチルイソプロピルアズレン)軟膏を塗ります。痛み止めやかゆみ止めを使います。
成人では予防接種をすることが大切になってきています。

家庭での注意
@掻かないように爪をきちんと切っておきます。
A水ぼうそうになったことのない人や子どもには感染し水ぼうそうになります。帯状疱疹の感染は接触によって起こります。最近気道感染の可能性も指摘されています。約14〜16日後に発症します。感染しても帯状疱疹になるわけではありません。

保育園・幼稚園・学校
水ほうがある間は感染します。水ほうが全てかさぶたになり、周りの赤みがなくなったら行くことができるのですが、ほとんどが接触感染ですので病変部を覆っていれば可能です。(学校保健安全法「その他の感染症」に分類されています。)

◎アシクロビル(ACV)について
 ゾビラックスの一般名です。 アシクロビル 顆粒40%:1g 400mg 5〜7日
〈単純疱疹〉通常、小児には体重1kg当たり1回アシクロビルとして20mgを1日4回経口投与する 20mg/kg/回 1回最高量は200mg
ただし、1回最高用量は200mgとする
〈造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制〉通常、小児には体重1kg当たり1回アシクロビルとして20mgを1日4回造血幹細胞移植施行7日前より施行後35日まで経口投与する
ただし、1回最高用量は200mgとする
〈帯状疱疹〉通常、小児には体重1kg当たり1回アシクロビルとして20mgを1日4回経口投与する
ただし、1回最高用量は800mgとする
〈水痘〉通常、小児には体重1kg当たり1回アシクロビルとして20mgを1日4回経口投与する
ただし、1回最高用量は800mgとする
〈性器ヘルペスの再発抑制〉通常、小児には体重1kg当たり1回アシクロビルとして20mgを1日4回経口投与する
ただし、1回最高用量は200mgとする

バラシクロビルは、アシクロビル(商品名ゾビラックス等)のプロドラッグである。
バラシクロビルはアミノ酸の1種であるバリンのカルボキシ基に、アシクロビルがエステル結合した形状をしている。 小腸のペプチドトランスポーターであるPEPT1により吸収された後、肝臓でエステラーゼによってバリンと抗ウイルス作用を持つアシクロビルとに加水分解されて薬効を発揮する。 したがって前提条件として肝不全状態でないことが求められる。
バリンとの結合によって体内への吸収率が高まることにより、経口アシクロビルより生体利用率が高くなっている。

※バラシクロビル 顆粒50% (VACV) 75mg/kg/日(分3)で1日3回でいいです。
いずれも水疱出現3日以内の投与が勧められていますが、開始時期が早いほど効果があります。

※実は私が昨年(2023年)、左下肢を中心に発疹が出てきまして、25日目に帯状疱疹と自分で診断し、アシクロビルを内服しました。発疹が乾いて炎症がとれるまでに10日間はかかりました。
自分ではまだまだ水痘を見ることがあるので絶対帯状疱疹になるとは考えていなかったのですが。
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