抗RSV抗体パリビズマブ(palivizumab:シナジス)
抗RSV抗体パリビズマブ(palivizumab:シナジス)とは遺伝子組み換えRSVヒト化モノクローナル抗体のことです。
これをRSウイルス感染を起こすと細気管支炎を起こし、重篤な経過となる可能性のある子どもたちを対象に予防的に使用することで重症化を防ぐことができるようになりました。
文献的には Impakct-RSV Study Group は、在胎35週以下の早産児と慢性肺疾患の既往がある乳児を対象に、パリビズマブを30日ごとに5回投与したところ、入院率が非投与群に比べ55%低下した(10.6% から4.8%へ)ことを報告しました。
また、先天性心疾患をもつ乳児における検討でも、安全であること、入院率が45%低下したことが報告されています。
国内では2002年に使用され始め、2005年10月に、24ヶ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患新生児、乳児および幼児への適応も承認されました。
ハイリスク児で健康保険を使って予防できるようになりました。 使用方法
早産児や慢性肺疾患合併の児に対し発症抑制を目的に、RSV流行シーズンの10月頃から月1回、0.15ml/kgの筋注が行われます。
現在の適応は以下のようです。
下記の新生児、乳児および幼児におけるRSV感染による重篤な下気道感染の発症抑制
RSV感染流行初期において
○在胎期間28週以下の早産で12ヶ月齢以下の新生児および乳児
○在胎期間29〜35週の早産で6ヶ月齢以下の新生児および乳児
○過去6ヶ月以内に気管支肺異形成症(BPD)の治療を受けた24ヶ月齢以下の新生児、乳児および幼児
○24ヶ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患(CHD)の新生児、乳児および幼児
★RSVfusionタンパクに対するモノクローナル抗体をマウスで大量に作らせ、IgGのFabの抗原認識部分を遺伝子工学によりヒト化したRSVモノクローナル抗体をマウスを作ったものです。
(文献 成合昭吉 小児科診療 69:414-416、2006 武内可尚 小児科診療 67:445-452、2004 )