尿蛋白
蛋白尿には糸球体蛋白尿と尿細管蛋白尿がある。前者の主体はアルブミンやグロブリンなど分子量50kDa以上の高分子蛋白で、後者の主体はβ2ーミクログロブリン(β2m)やα1-ミクログロブリン(α1m)などの分子量40kDa以下の低分子蛋白である。
健常な腎では、高分子蛋白は糸球体で濾過されず、低分子蛋白は糸球体で濾過されるが、近位尿細管ではほぼ再吸収される。Tamm-Horsfall糖蛋白(THP)は尿細管から分泌される蛋白であり、腎盂腎炎などの炎症によって増加する。
基準値
定性検査では早朝第一尿で(-)(15mg/dl以下)〜(±)(15〜24mg/dl)が正常。
定量検査では24時間畜尿、100mg/m2/日(4mg/m2/時)未満が正常、4〜40mg/m2/時以上を有意な蛋白尿とする。
クレアチニンは1日尿中排泄量がほぼ一定しており、蛋白尿/クレアチニン比を測定することにより、尿濃縮度の影響を受けずに尿蛋白排泄量を評価できる。
年齢 尿蛋白/クレアチニン比(g/gcr)
生後6ヶ月まで 0.70
6〜12ヶ月 0.55
1歳〜2歳 0.40
2歳〜3歳 0.30
3歳〜5歳 0.20
5歳〜7歳 0.15
7歳以上 0.15
起床時随時尿の定性検査で陽性であった場合は、早朝第一尿で再検する。早朝第一尿で陰性、第二尿以降が陽性であれば起立性蛋白尿であり、病的意義は低い。
早朝第一尿定性検査で陽性であった場合は、定量検査を行い、尿蛋白/クレアチニン比を評価する。
高値であれば24時間畜尿を行う。
(文献 46)