甲状腺ホルモンと関係する検査


甲状腺ホルモン 
T3・T4
T4は甲状腺濾胞細胞から合成分泌されるホルモンで、血液中に分泌されたT4のほとんどは甲状腺ホルモン結合蛋白と結合して存在しているが、遊離の状態にある、F(フリー)T4が細胞内に取り込まれ、脱ヨード反応によってT3に変換される。(一部のFT4は細胞内にとどまってそのまま核内に入って甲状腺ホルモン受容体に結合してホルモン作用を発揮する。)この変換は肝臓や腎臓などの末梢組織で行われ、生成されたT3の一部は再び血中に放出され、一部はそのまま細胞核内の甲状腺ホルモン受容体に結合する。T3は活性型の甲状腺ホルモンであり、生物活性はT4の約5倍である。血液中のT3の約20%は甲状腺から直接分泌されたもので、残りの約80%が肝臓などの末梢組織でT4からの変換によって生成されたものである。血液中のT3も大部分は甲状腺ホルモン結合蛋白と結合しているが、遊離の状態にあるFT3(全体の約0.3%)が標的細胞内に取り込まれてホルモン作用を発揮する。血清中のT3、T4濃度は、血清TBG濃度の影響をうけるため、真の甲状腺機能を知るにはFT3、FT4の測定が適している。

TSH
TSHは下垂体前葉から分泌されるホルモンで、甲状腺を刺激して、甲状腺ホルモンの合成、分泌を促進する。TSHの分泌は視床下部から分泌されるTRHによって促進される。血液中の甲状腺ホルモンが増加すると、下垂体のTSH分泌細胞の機能が抑制されると同時にTRH分泌も抑制されるため、TSH分泌が抑制される。逆に血液中の甲状腺ホルモンが減少すると、TSH分泌が増加する。このネガティブフィードバック機構は非常に鋭敏で、血中甲状腺ホルモンのわずかな増減にも敏感に反応する。

甲状腺自己抗体
抗サイログロブリン抗体
 サイログロブリンに対する抗体。甲状腺機能亢進症、橋本病で30〜50%陽性を示す。
抗マイクロゾーム抗体
 甲状腺濾胞細胞のマイクロゾーム分画に対する抗体。抗原は甲状腺ペルオキシダーゼ。甲状腺機能亢進症、橋本病で80〜90%陽性となる。

TSHレセプター抗体
 TSH結合阻害抗体(TBII TSH binding inhibitor immunoglblins)
甲状腺の細胞膜TSH受容体にTSHが結合するのを抑制する抗体。未治療バセドウ病では90%以上検出される。
 甲状腺刺激抗体(TSAb thyroid stimulating antibodies)
  培養甲状腺細胞を用いて、cAMP増加を指標とし、甲状腺細胞膜上に存在するTSH受容体に対する抗体を検出する方法。バセドウ病で90%以上検出される。

TBG
甲状腺ホルモンは血液中では大部分がタンパク質と結合しており、70%がTBGと結合している。TBGが増加すると甲状腺ホルモンは増加し、TBGが減少すると甲状腺ホルモンは減少する。しかし、現在FT4、FT3が測定されるようになったので、あまり臨床的な意義がなくなった。THSが正常な場合にT3,T4が異常値を示す場合に意味がある。

サイログロブリン
甲状腺濾胞内で合成され、蓄えられる糖タンパク質で甲状腺ホルモンの合成にとって必須のタンパク質である。臨床的意義は少ない。
( 文献43 45より)

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