アジサイ 紫陽花 hydrangea
アジサイ 紫陽花
アジサイの花言葉は「移り気」。花のように見える部分「がく片」(装飾花)の色が、土の酸性度の違いで変わることが知られている。
名古屋大の吉田久美教授(天然物化学)らのグループが、がく片の細胞ごとに色が変わる仕組みを解明したと、英植物科学誌で発表した。
アジサイは青や赤の品種があり、青色品種のがく片は酸性の土で青、中性で紫、アルカリ性で赤みが強まる。グループは、青色品種で紫色になったアジサイのがく片を使い、細胞を酵素でばらばらにして観察した。
その結果、がく片には青、紫、赤などの細胞が混ざっていることがわかった。
細胞一つひとつを調べると、赤や青の色を作るアントシアニンの量は、細胞の色と関係しないことがわかった。青い細胞には、酸性土壌で水に溶け出すアルミニウムイオンと、助色素と呼ばれる分子の量が多く、赤い細胞はどちらも少なかった。
アルミニウムは細胞の中でアントシアニンを青く発色させ、助色素は発色を安定させる。
グループは細胞内のアルミニウムイオンと肋色素の量を変化させ、細胞の発色をコントロールすることにも成功した。吉田教授は「同じ遺伝情報で隣り合う細胞なのに、細胞ごとに色が変わる仕組みがあるのは驚きだ」と話している。
滋賀県立大の上町達也准教授(園芸学)の話
「色の多様な変化の仕組みを細胞レベルで明らかにした。アジサイの色の魅力を高める栽培管理法の開発や育種につながるだろう」 土壌の酸性度で変わるアジサイの色
紫色のアジサイの細胞をばらばらにすると、青・紫・赤などの色の細胞があることがわかる(いずれも吉田教授提供)
読売新聞記事より