めまい


1.めまいの問診のポイント
 「めまい」という言葉は、いろいろな状態を意味するので、患者がめまいを訴える時には、その内容をまずはっきりさせることが必要である。
 めまいの問診のポイントを示す。回転性めまいは内耳の障害によることが多く、浮動性めまいは脳障害や循環障害によって起こることが多い。
 また、内耳の障害によるめまいは発作性で、嘔気・嘔吐を伴い、次第に耳鳴・難聴も生じてくるという特徴がある。
 これに対して、脳障害、循環障害によるめまいは発作性でも内耳性のめまいほど頻回に起こることはなく、嘔気・嘔吐を伴うことは少なく、耳鳴・難聴も伴わない。また、頭位・体位変換時に起こるめまいは内耳疾患によることが多いが、脳循環障害でも起こることもある。
 また、数秒間のように短いものでも意識障害が起こる時には、そのめまいは心疾唐か、てんかんによるものと考えたほうがよい。

    めまいの問診のポイント
      1.めまいの性状(回転性、浮動性など)
      2.発作性か持続性か
      3.耳鳴・難聴の有無
      4.嘔気・嘔吐の有無
      5.頭位・体位との関係
      6.意識障害の有無
      7.その他の神経症状
      8.薬の服用
      9.既往歴


2.問診後の診察
問診の後には、診察により難聴の有無を確認し、眼球振盪(眼振)の有無も調べる。さらに眼球運動が正常か、顔面に知覚運動麻痺がないか、言語が正常であるかもみる。
また、指鼻試験や、かかとすね試験では小脳性運動失調の有無、運動麻蝉の有無を知ることができる。またピンや音叉を使って表在知覚、深部知覚が正常であるかどうかをみることも忘れてはならない。
もちろん血圧の測定や心音の聴取は、すべての患者についておこなうべき診察である。

3.診斯へのアプローチ
 問診、診察の結果からどんな診断が考えられるかは、表2に示すとおりである。
 これをみる時に注意すべき点は、比較的病初期の患者をみるときには症状がそろっていない場合もあるということで、たとえばメニエール病でも難聴・耳鳴か生じる前にめまいが起こることである。
また老人の場合、あるいは聴神経腫瘍の場合には、耳性と非耳性のめまいが混在することもあり、これにも注意が必要である。



日医ニュース Sign&Symptom No.47 より


良性発作性頭位めまい症
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