子宮頸がんワクチン(ヒトパピローマウイルスワクチン HPV)


子宮頸がんは女性特有のガンとしては乳がんに次いで多く、特に20〜30代のがんでは第一位となっています。日本では10000人もの女性が新たに子宮頚がんにかかっており、、毎年約3500人が子宮頚がんで亡くなっています。子宮頚がんはヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することで発症します。そこで子宮頚がんを予防するためにヒトパピローマウイルス感染を予防するワクチンが開発され、この度公費で接種することができるようになりました。

ワクチンの種類
◎2023.3月、9価HPVワクチンとしてシルガードが加わりました。しかも9歳から15歳未満では2回の接種で良いという条件になりました。他の条件では3回します。倉敷市では2回を勧めています。

サーバリックスガーダシルという2種類のワクチンが発売され、サーバリックスが先行していましたが、現在低リスク型のヒトパピローマウイルスも予防できるガーダシルが世界的に行われる様になりました。
予防できるHPVはともに16型、18型を予防できます。これが子宮ガンの主原因(2/3)になっていますので、サーバリックスを受け検診をきちんとしていけば子宮頚がんを予防するのはある程度十分と考えられます。
しかし、後発(ジェネリックという意味ではありません。サーバリックスより国内発売が1年9ヶ月遅れました。)のガーダシルはこれに低リスク型の6型、11型も予防できるということで現在優位に立っています。尖圭コンジローマの原因になるHPV6&11型を加えた4価の予防ワクチンになっています。これにより、子宮頸癌、外陰上皮内腫瘍、膣上皮内腫瘍のみならず、再発しやすい良性腫瘍である尖圭コンジローマも予防するワクチンになっています。 サーバリックスはメインの16,18型に対してはガーダシルよりも効果が強いということで市場を確保しようとしていますが、劣勢は否めないようです。
先ほどいいましたように、子宮頚ガンの予防だけならサーバリックスで十分と考えられますので、もしサーバリックスを既に受けている方には、それほど気にされることはありません。

問題はワクチン接種のみで終わることなく、きちんと20歳になったら、検診をきちんと受けて下さい。
サーバリック、ガーダシルは希望があればいたします。現在はシルガードが主体になっています。
接種方法
半年間に3回接種します。1回めから1〜2ヶ月後に2回目、6ヶ月後に3回目を行います。
通常の皮下注射ではなくて筋肉注射ですので、痛みが皮下注射に比べると少し強いです。
◎シルカードの場合、9〜15歳未満のとき、13ヶ月後にをするのが望ましいです。初回から2回目が6ヶ月以上できない場合は、2回目を初回から少なくとも5ヶ月以上置いてから接種してください。
2回目の接種が初回接種から5ヶ月後未満であった場合、3回目の接種をしましょう。この場合、3回目の接種は2回目の接種から少なくとも3ヶ月以上間隔を置いて実施しましょう。

接種料金
小学校6年生から高校3年生までで公費で無料です。
平成9年4月2日〜平成18年4月1日までの方は経過措置として令和4年4月〜令和7年3月まで公費でできます。

接種について
お電話ください。

効果
子宮頸がんの減少が報告されています。ワクチンに含まれるHPV型の感染率の明らかな減少や前がん病変の検出頻度や発生リスクが減っています。

副反応
接種部位の痛み、腫れ、発赤、かゆみなど。
発熱、不快感、頭痛など。筋肉の痛み。まれに手足の痛み、下痢、腹痛、疲労、不安感から来る失神、めまい関節痛、嘔吐、リンパ節症などが報告されています。
接種後30分程度はすわらせる等をして、血管迷走神経反射による失神により転倒しないように注意します。
広範な疼痛や運動障害が起こることがあるため、その場合は適切な治療が可能な医療機関を受診することが必要です。当院では倉敷中央病院、川崎医大病院などをご紹介します。

※血管迷走神経反射
HPVワクチンに限らず、特に10代にワクチンを接種する場合、血管迷走神経反射による失神が起こる可能性があります。
血管迷走神経反射とは、注射の痛みや恐怖、不安等の精神的動揺により自律神経系が刺激され、全身の血管床が拡張するために脳血流が低下することで一過性に血圧や心拍数の低下を引き起こす生理的反応のことをいいます。
失神後の転倒等を防止するため、注射後の移動の際には、保護者又は医療従事者が付き添うようにし、接種後30分担度は背もたれのある椅子に座らせる等した上で、なるべく立ち上がらないように指導し、被接種者の状態を観察することが勧められます。
ときに前に倒れることもありますので、接種後の観察は重要です。二次的な外傷等に注意する必要があります。発症しても横になって臥床していれば問題なく回復します。
前の画面に戻る
禁転載・禁複製  Copyright 1999 Senoh Pediatric Clinic All rights reserved.