夏の車は子どもの棺おけ


 また、2人の子どもが自動車の中で死んだ。母親がまたしてもパチンコをしていて幼い1歳と2歳の兄弟を駐車場内にエアコンをつけたままで放置していた。約2時間後子どもたちは二人とも死んでいた。またしてもだ。エンジンはかかったままだったが、エアコンが切れていて、熱中症として死亡したらしい。

 どうしてわからないのだろう。こんなに子どもが車の中で死んでいるのに。エアコンをかければ大丈夫?ではないのだ。どうして、子どもたちだけを車の中においてくるの。だいたいこんなに小さな子を2人だけで何処であろうと2時間もほっておくなんて、それだけで母親としては失格である。
 JAFの実験では夏の車の中は32゜Cの炎天下に駐車した車内の温度は、約30分後に58゜Cに達するという。

 夏の車は子どもの棺おけである。
熱中症によっていとも簡単に子どもが死ぬ。ほんの30分から2時間くらいで。
こんなに急に死に至るような病気や、毒物はあまりない。それほどに恐ろしいのだ。

 熱中症とは直射日光下または高温(高湿)室内の重労作の時に見られる障害を熱中症と総称されているが、この場合やはり熱射病と考えることができるだろう。熱射病はうつ熱のため体温調節機構が破壊され、体温の過上昇とそれに伴う肝・腎などの障害を主徴とする。

 いったい子どもの中でなにが起こったのだろう。
 おそらくエアコンの停止とともに急激に体温が上がり、意識障害、それに続く、中枢性の心肺停止が来たのだろう。もちろん脱水は来るが、こんな短時間で起こる脱水なら、すぐに点滴などで救うことができるはずだ。救命できない状態が起こるのだろう。
 本当に恐ろしい。
 以前、車が盗まれて、その中にいた兄弟がダムに投げ捨てられる事件があった。
 アメリカでは子どもを車の中においていくと、逮捕されると言う。日本でも子どもを車の中に放置しないような法律を作らなければならないかもしれない。厳罰を処せばいいというわけではないが、親の責任をもっと明確にしておかなければもっともっと多くの貴重な子どもたちの命が奪われるだろう。

おかあさん、どうか子どもを車の中においていかないで。


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