抗アレルギー薬とその使い方


抗アレルギー薬 
 喘息の治療薬として抗アレルギー薬があります。アレルギー反応の種々の過程を抑えることにより、喘息発作を予防するものです。アレルギー性の機序で起こる喘息の場合、ダニなどの抗原が入って抗原抗体反応が起きても、化学遊離物質(ヒスタミン,SRSAなど)が肥満細胞などの細胞からはじけて外に出るのを抑える働きにより予防効果が期待できる薬です。
また、そのような物質の産生、合成を抑えるもの、サイトカインという物質の産生、または合成を抑えるものなどがあります。 いまから約20年前に、DSCG(インタール)という吸入する薬が使用されるようになりました。これはアレルギー性の喘息の場合に、あらかじめ吸入しておくことによって発作の発現を予防するという効果があります。その後経口で同様の効果が得られるいくつかの薬が現れてきました。これらの薬の作用機序は、DSCGとほぼ同様です。すなわち、抗原抗体反応の結果起こる化学伝達物質の遊離を抑制するのが主な働きですが、一部の薬ではこの他に抗ヒスタミン作用があります。また、喘息の原因物質であるパフ(PAF)に働く作用もあると言われています。

 ロイコロリエン受容体拮抗剤(プランルカスト、モンテルカスト)という薬は比較的新しく、システニィルロイコトリエンⅠ受容体拮抗剤で気管支収縮抑制作用、気道炎症抑制作用を発揮、それに基づいて長期的な肺機能の改善、気道過敏性の改善をもたらすものです。また、ロイコトリエン受容体拮抗剤には運動誘発性喘息の抑制効果も認められています。効果はメディエーター遊離抑制作用やヒスタミンH1拮抗薬よりも早く、数日で効果が現れる場合もあります。

 服用法は、たとえば発作が秋の9月から10月にかけて多い場合には、8月の初めから使用を始め、9月の終わりあるいは10月の終わり、あるいは11月の初めまで投与を続けます。また発作が1年中散発的にみられるような場合には、年間を通して用いるのがよいと思います。服用時間をほぼ決めて内服を忘れないようにする注意が必要です。
 使用期間は、発作が通年性で年間を通して起こるという場合には、どれかの予防薬を3年、あるいは4年間継続して使用することがあります。効果が見られるのは4週間~6週間くらいです。それくらいは続けてみなければなりません。また、一度効果が見られても中断してしまえば発作がまた起こることがあります。これらの薬はあくまでも予防薬ですから、必要なときには医師の指示に従って比較的長期間にわたりますが、勝手に中止しないで続けてください。 
 副作用は全般に少なく、安心して使用できます。
メディエーター
遊離抑制薬
クロモグリク酸ナトリウム(インタール:吸入で使用) 肥満細胞からいろいろなアレルギー作用を起こす物質が出るのを防ぐ。
アトピー性皮膚炎 気管支喘息
副作用:咽喉頭打刺激感 頭痛 悪心 口渇
禁忌:本剤過敏症
トラニラスト(リザベン) アトピー性皮膚炎 気管支喘息 アレルギー性鼻炎 ケロイド肥厚性瘢痕
副作用:肝機能異常 膀胱炎症状 白血球低下 頭痛 過敏症
プランルカスト(オノン) 気管支喘息  小児1日7mg/kg 1日2回 10%
副作用:発疹 眠気 嘔気 尿蛋白 肝機能異常 膀胱炎症状 白血球低下 頭痛 過敏症
ペミロラストカリウム(ペミラストン、アレギサール) 気管支喘息 アレルギー性鼻炎
副作用:頭痛 嘔気 腹痛 胃部不快感 過敏症 肝障害 尿蛋白 
ヒスタミンH1拮抗薬+メディエーター遊離抑制薬 フマル酸ケトチフェン(ザジテン) カプセル(1mg) シロップ(0.02% 0.2mg/ml) ドライシロップ(0.1%)
小児 1日0.06mg/kgを2回
気管支喘息 アレルギー性鼻炎 湿疹・皮膚炎 じんましん 皮膚?痒症
副作用:けいれん 興奮 肝機能異常 黄疸 過敏症 眠気
オキサトミド(セルテクト) 錠(30mg)
ドライシロップ(2% 20mg/g) 0.5mg/kgを1日2回 1日最高用量0.75mg/kg
気管支喘息 アトピー性皮膚炎 痒疹 じんましん 皮膚?痒症
副作用:けいれん 興奮 肝機能異常 錐体外路症状 過敏症 眠気 嘔気
禁忌:本剤過敏症 妊婦
メキタジン(ゼスラン ニポラジン:フェノチアジン系) 錠(3mg) 小児用顆粒(0.6% 6mg/g) シロップ(0.03%)
① 1回0.06mg/kg 1日2回 ②1回0.12mg/kg 1日2回
A じんましん、皮膚疾患に伴う?痒 アレルギー性鼻炎
B 気管支喘息
副作用:肝機能異常 血小板減少 過敏症 眠気 倦怠感
禁忌:本剤過敏症 緑内障 前立腺肥大
塩酸アゼラスチン(アゼプチン) 錠(0.5mg、1mg) 顆粒0.2%
気管支喘息 アレルギー性鼻炎 じんましん 湿疹 皮膚・アトピー性皮膚炎 皮膚?痒症 痒疹
禁忌:本剤過敏症 妊婦
フェキソフェナジン(アレグラ) 錠剤 7才以上:30mg/1日2回  12才以上:60mg/1日2回
顆粒 12歳以上の小児にはフェキソフェナジン塩酸塩として1回60mg(ドライシロップとして1.2g)、7歳以上12歳未満の小児にはフェキソフェナジン塩酸塩として1回30mg(ドライシロップとして0.6g)を1日2回、経口投与。
2歳以上7歳未満の小児 1回30mg(ドライシロップとして0.6g)、6ヵ月以上2歳未満 1回15mg(ドライシロップとして0.3g)を1日2回。
塩酸セチリジン(ジルテック) 2歳以上7歳未満:1回0.2g/1日2回  7歳以上15才未満:1回0.4g/1日2回
アレルギー鼻炎、じんましん、?痒性皮膚疾患に適応。投与4週以降で鼻炎症状が改善。アトピー性皮膚炎患者においてステロイド外用の期間を減少させることができるという。
ロラタジン(クラリチン) 成人 通常、ロラタジンとして1回10mg(ドライシロップとして1g)を1日1回、食後に用時溶解して経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。
小児 通常、3歳以上7歳未満の小児にはロラタジンとして1回5mg(ドライシロップとして0.5g)、7歳以上の小児にはロラタジンとして1回10mg(ドライシロップとして1g)を1日1回、食後に用時溶解して経口投与する。3~6歳、7~14歳 10mg/1錠1日1回 レディタブ錠10mg 1日1錠1回
アレルギー性鼻炎、じんましん、皮膚疾患(湿疹、皮膚炎、皮膚?痒症)に伴うそう痒。
口の中で解けるレディタブ錠。眠気は少ない。
塩酸エピナスチン(アレジオン) 小児には1日1回0.025~0.05g/kg(エピナスチン塩酸塩として0.25~0.5mg/kg)を用時懸濁して経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減。但し、1日投与量はドライシロップとして2g(エピナスチン塩酸塩として20mg)を超えない。
標準投与量は、次記の用量を1日量とし、1日1回用時懸濁して経口投与する。
3歳以上7歳未満(標準体重14kg以上24kg未満):0.5~1g(エピナスチン塩酸塩として5~10mg)。
7歳以上(標準体重24kg以上):1~2g(エピナスチン塩酸塩として10~20mg)。
アレルギー性鼻炎、じんましん、皮膚疾患(湿疹、皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒。
眠気は少ない。飲みやすいが少し後味が悪い。かゆみに対する効果あり。
エバスチン(エバステル) 5~10mg/1日1回
皮膚炎、湿疹、じんましん、アレルギー性鼻炎など。
アレロック(オロパタジン塩酸塩) アレロック細粒0.5%、1回0.5g(2.5mg)(2~7歳)/1日2回 1回1g(5mg)(7歳以上)/1日2回
  アレロックOD錠 1錠2.5mg 5mg 1回2.5mg1錠(2~7歳)/1日2回 1回5mg 1錠(7歳以上)/1日2回
  アレルギー鼻炎、じんましん、皮膚疾患に伴う?痒など。鼻閉に効果があるが、少々眠くなる。
アレルギー性結膜炎:パタノール点眼薬 1日4回 朝、昼、夜、就寝前 オロパタジン塩酸塩ドライシロップ1% 1回0.25g(2.5mg)(2~7歳)/1日2回 1回0.5(5mg)(7歳以上)/1日2回
 オロパタジン塩酸塩ドライシロップ1%は1%なので少なくなる。
ザイザル(レボセチリジン塩酸塩) 錠剤 1回1錠(5mg)/1日1回就寝前 シロップ 0.05%
小児:6カ月以上1歳未満の小児には1回2.5mL(レボセチリジン塩酸塩として1.25mg)を1日1回経口投与する。1歳以上7歳未満の小児には1回2.5mL(レボセチリジン塩酸塩として1.25mg)を1日2回、朝食後及び就寝前に経口投与する。7歳以上15歳未満の小児には1回5mL(レボセチリジン塩酸塩として2.5mg)を1日2回、朝食後及び就寝前に経口投与する。
成人 1回10ml
アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症の治療に用いられる。
レボセチリジン塩酸塩ドライシロップ 6ヶ月以下1歳未満1回0.25g1日1回 1歳以上7歳未満 1回0.25g1日2回 7歳以上15歳未満 1回0.5g 1日2回 成人 1回1g 1日1回 
タリオン(ベポスタチンベチル酸塩) 錠剤10mg 成人 10mg/1日2回 小児7歳以上1回10mg1日2回
アレルギー性鼻炎、じんましん、皮膚疾患(湿疹、皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒
副作用 眠気 口渇 悪心 胃痛 下痢
リボスチン(リボカバスチン酸塩酸) アレルギー性鼻炎、アレルギー結膜炎に対する点鼻薬、点眼薬
デザレックス(デスロラタジン) アレルギー性鼻炎、じんましん、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚掻痒症)に伴う掻痒
  12歳以上の小児および成人 デスロラタジン として1回5mgを1日1回
   副作用:ショック アナフィラキシー 頻度不明 てんかん 頻度不明、けいれん頻度不明 肝機能障害 傾眠、頭痛など
ロイコトリエン受容体拮抗薬 プランルカスト水和物(オノン)
モンテルカストナトリウム(シングレア・キプレス)
気管支収縮を抑制。気道炎症を抑制。
トロンボキサンA2拮抗薬 セラトロダスト(ブロニカ) 気管支喘息(主として予防薬として使用。)成人用のみ。
Th2サイトカイン阻害薬 トシル酸スプラタスト(スプラタストトシル酸 アイ・ピ-・ディー) 小児 3mg/kg 1日2回 50%散  成人は1回1カプセル(主成分として100mg)を1日3回毎食後服用
気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎に効果あり。主として予防薬として使用。
Th2サイトカイン(IL-4やIL-5)の産生を選択的に抑制することにより、IgE抗体産生や好酸球の組織浸潤を抑制し、
IgE依存性アレルギー反応のみならず、アレルギー性炎症をも抑制する。
アレルギー症状に関与するヒスタミンの肥満細胞からの遊離を抑制する作用も認められている。
副作用:胃部不快感0.4%、嘔気0.4%等の消化器症状、ALT(GPT)上昇0.4%、AST(GOT)上昇0.3%等の肝機能障害、眠気0.5%、発疹0.2%など。
第2世代抗ヒスタミン薬 塩酸フェキソフェナジン(アレグラ) 選択的ヒスタミンH1受容体拮抗作用、炎症性サイトカイン産生抑制作用、好酸球遊走抑制作用を有する。
抗ヒスタミン作用の眠気は比較的少ない:慢性蕁麻疹など。
長時間作動型β2刺激薬 キシナホ酸サルメテロール(セレベント) 吸入による長時間作用する気管支拡張剤。

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