ABO式血液型不適合
ABO式血液型不適合とは
原因
胎児側の血液と母胎側の血液は混じり合わないようになっているのですが、何らかの原因により胎児血が母体側に紛れ込んでしまい、胎児の赤血球に対して、母体の免疫反応が起こり、その赤血球を攻撃する抗体ができることにより起こるものです。その抗体は胎盤を通過することができるので、胎児の赤血球を破壊し、その結果、新生児早期からの黄疸や貧血が出てきます。これがABO式血液型不適合による黄疸です。
胎盤に関する何らかの異常(常位胎盤早期剥離、梅毒など胎盤への感染症、前置胎盤での出血など )、流産や人工妊娠中絶、羊水穿刺などが不適合妊娠を起こす可能性があると考えられています。ただし、型の異なった輸血を間違ってしたような場合とは違って、母体の中に入り込む血液の量は非常に少ないので、作られる抗体の量も限られ、症状がひどく出ることはまれです。
臨床的には、O型のお母さんとA型、もしくはB型の赤ちゃんの組み合わせで比較的よく見られます。日本人の血液型の分布はA型が38%、次いでO型が31%、B型が21%、もっとも少ないAB型は10%ですので、この組み合わせはめずらしくないのです。
症状
黄疸がほとんど唯一の症状です。貧血も見られることがあります。出生後早期に出てきます。黄疸の程度はRh式血液型不適合ほどではありません。
診断
お母さんがO型で赤ちゃんがA型かB型で、黄疸があり、間接ビリルビン型が高いときに疑われます。
赤ちゃんの血液を使っての検査
@抗体解離検査 児血球に結合している母由来の抗A、抗B抗体を解離させ、標準A型、B型血球を凝集させて証明する方法。信頼度が高いです。
A遊離抗体の検査 ABO不適合児の血清中に存在する遊離の抗体(母由来のIgG抗体)はA型またはB型の血球(患児と同型の標準成人血球)を用いた間接クームス試験を行います。陽性となります。
直接クームス試験はほとんどの場合陰性となります。
ほとんどの場合は、重症化することは少なく、光線療法などで治療することができます。まれに重症化することがあり、交換輸血などの治療が必要なこともあります。
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