クラミジア肺炎
クラミジアトラコマティス、クラミジアニューモニアという病原体が起こす肺炎です。クラミジアトラコマティスによる肺炎は新生児に、クラミジアニューモニアエによる肺炎は小児から老人まで幅広く見られます。クラミジアトラコマティスはクラミジア子宮頸管炎を持つ母親からの産道感染によって起こり、クラミジアニューモニアエによる肺炎は飛沫感染によって起こります。
4歳以下の小児のクラミジア・ニューモニアに対する抗体保有率は低く、この年齢まではあまり感染していないことが分かります。成人では約60%位の抗体保有率があるといわれています。今までは原因検索が容易ではなかったので、実際にはかなりの頻度で感染があることが推定されています。全肺炎の5〜15%を占めるといわれています。
人から人へ感染することが知られています。飛沫感染で伝ぱんし、家族内や小集団で流行することがあります。再感染は多く、成人ではしばしばみられます。潜伏期は平均21日です。
症状
クラミジアトラコマティス肺炎
鼻炎、結膜炎などが初めに見られ、発熱はなく咳、喘鳴、呼吸困難などが出現していきます。
発熱はあまり出ませんが、微熱となることが多いです。急速に悪くなるのではなく、鼻汁、乾いた咳がこんこん続きます。咽頭痛もあります。通常は軽症に経過しますが、免疫が落ちているとか、免疫抑制剤など使用している場合や老人などでは重症になることがあります。基礎疾患がある場合には重症化することがあります。
胸部レントゲン写真にて両則にぼんやりした肺炎像が見えます。マイコプラズマ肺炎などと同様異形肺炎像を呈します。診断は血液検査や病原体検査を行い、確定します。特異的IgM抗体の上昇で診断します。検査:抗肺炎クラミジアIgM抗体をELISA法で測定する方法が保険適用されておりCRP、赤沈は亢進。白血球の増加はあまりありません。
治療
マクロライド系、テトラサイクリン系の抗生物質を使います。2週間ほど内服します。乳幼児はマクロライド系抗生物質で治療します。長引く例や再発例が少なくないため、14〜21日の長期投与が必要になることがあります。
予後
経過は良好です。1〜2週間で症状は良くなり、レントゲン写真の所見も良くなります。
家庭での注意
入院治療が基本です。家庭内での感染もありますので、気を付けましょう。安静にして、加湿をしましょう。
水分は多めに与えましょう。
入浴は熱が下がって肺炎像がよくなり、咳をしなくなったらさっと入ることができます。
クラミジア・ニューモニアの感染後に気道の過敏性が高まることが指摘されており、気管支喘息や喘鳴に関係があるという報告もあります。
飛沫感染で気道に侵入し、肺および、末梢血の単核球に感染することにより、血流から全身に感染が広がると考えられています。
マクロファージ、内皮細胞、平滑筋細胞に持続感染する可能性も推定され、成人の動脈硬化や冠動脈病変などとも関係するのではないかと考えられています。
(文献 42)