ジフテリア Diphtheria


ジフテリアは、ジフテリア菌の感染によって生じる気道感染症です。ヒトが唯一の感染源で、患者や無症候性保菌者の咳などによる飛沫を介してヒトからヒトヘと感染します。
通常、患者または保菌者との接触、流行地域への渡航、流行地域からの旅行者との接触によって感染が起こります。無治療の場合、感染から2〜4週間にわたリジフテリア菌が排出されます。

症状
咽頭、喉頭、鼻腔などに感染し、増殖したジフテリア菌は白〜灰白色がかった偽膜を形成し、感染部位により、咽頭ジフテリア、喉頭ジフテリアなどと呼ばれます。ジフテリア毒素が血中に入り全身に及ぶと、手足の筋肉および呼吸筋などの麻庫(ジフテリア後神経麻庫)といった末梢神経炎や、不整脈や心筋炎などの心臓障害などによる突然死の危険性が高くなります。罹患した患者さんの年齢が低いほど重症化する傾向があるので、特に乳幼児にとっては重大な疾患です。

予防

現在は、予防接種の普及により日本でのジフテリア発症はほとんどみられなくなっていますが、ジフテリア菌に対する抗体保有率は年齢によってばらつきがみられます。
欧米諸国や発展途上国でも散発例がみられており、海外渡航者の感染発症事例もあり、ジフテリアが海外から持ち込まれれば再び流行する可能性もありますので、引き続き高い予防接種率を維持していくことが大切です。

文献
1)岡部信彦(編)。小児感染症学第2版、診断と治療社、p.226、2011
2)谷田家俊。感染症学第四版、診断と治療社、p.264、2009
3)大谷明ほか。ワクチンと予防接種の全て第2版、金原出版、p.52、2013
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