熱性けいれん


熱性けいれんというのは38℃以上の発熱時におこるけいれんのことです。
子どもは6ヶ月から6歳くらいまでに5%位の割合で発熱時にけいれんを起こします。熱が急激に上昇するときに起こりやすいのです。
子どもが急に青い顔をして、口から泡を吹き、全身を硬直させたり、あるいはがくがくさせ、呼びかけても全く反応しなくなります。たいていは3〜5分ぐらいで止まります。救急車を呼んだときにも、多くの場合救急車が着く頃にはけいれんは止まっています。
医療機関では抗けいれん剤の坐薬を使って様子を見ることになります。
けいれんが止まらなかったり、意識が戻らなかった場合には、特殊な抗けいれん剤の静脈注射をしたり、輸液をして、入院処置をすることになります。このようなことはまれです。
けいれんが治まってしばらくしたら(2週間以上)、脳波を検査をしておきましょう。なぜかというと、もともと脳波に異常があって、熱性けいれんの形で発症し、実はけいれんを起こす病気であるてんかんの場合があるからです。


けいれんがおこったときの対処

けいれんを起こしたときの処置

とにかくあわてず、衣服をゆるめ、舌を歯でかんでいたら、舌をタオルなど柔らかいもので口の中に押し込みます。決して指を入れないようにしてください。かまれてしまいます。
5分ほど待って、これを越えてもけいれんが治まらない場合は救急車を呼んでください。
左右の動きが違うときとか、半身が強いけいれんを起こしているときにはすぐに救急車を呼んでください。

原因
原因は不明です。
熱性けいれんのこどもの父親の40%、母親の25%が熱性けいれんを起こしたことがあることが分かっています。遺伝的傾向があります。
年齢も重要な要素です。はじめて、熱性けいれんを経験する年齢は60%が2歳までです。
大多数の熱性けいれんは4〜5歳で発作を起こさなくなるといわれています。

発作後の予防治療
発熱時に抗けいれん剤の坐薬を使用します。使い方は37.5℃以上になったら、この坐薬を1回使用し、8時間後38℃以上の発熱が続く場合はもう一回使用します。これ以後は熱が続いても使用する必要はありません。解熱剤を使用するときは30分以上あけてください。
坐薬の副作用として、眠気やふらつきが出ることがあります。

熱性けいれんの今後について
熱性けいれんが再発する要注意因子として次のようなことが重要と考えられています。
@両親・片親の熱性けいれんの既往がある
A1歳未満で熱性けいれんが発症している

てんかんが発症してくる要注意因子として、以下のことがあげられています。
@神経学的異常もしくは発達遅滞あり
A非定型発作(部分発作、発作の持続が15分以上、24時間以内の繰り返し発作)
B両親・兄弟のてんかんの家族歴あり

予後
ほとんどの熱性けいれんのこどもは6歳ぐらい、小学校にはいる前には発作を起こさなくなります。しかし、一部のものはてんかんに移行するこどもがいます。てんかんに移行する可能性のあるものは複雑性熱性けいれんといい予防治療を行うことになります。
複雑性熱性けいれんとは5ヶ月以下、5歳以上、家族内に無熱性けいれんがある、38.4℃以下、熱が2日以上の経過中、部分的に起こる、15分以上、1日に3回以上、全発作回数3回以上などを認める場合このように呼びます。


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