若年性黄色肉芽腫
若年性黄色肉芽腫とは
脂質を貪食した組織球を主体とする小児に特異的な肉芽腫で、血清脂質には異常がありません。非Langerhans 細胞組織球症で、組織球が真皮から皮下組織にかけて増殖する真性かつ反応性の疾患です。
生下時より存在するか、または生後まもなく、あるいは数ヶ月で発生して小丘疹や結節が増えますが、3〜6歳までに自然退縮します。単発のこともあります。
症状
1)好発部位 被髪頭部、顔、多発するときは体幹、四肢。
2)数は数個から数百個と多いことがあります。
3) 半球状に隆起した結節で直径数ミリから1センチ程度、一般に多発する場合は小さいです。粟粒大の丘疹の場合、伝染性軟属腫(水イボ)とよく似た状態になることがあります
4)発症早期には組織球の増加が主体なので紅色調で成熟期になると組織球は脂肪組織を貪食するため黄色丘疹または結節となります。黄色調が特徴的になります。古くなるとオレンジ色となり、表面に小じわが現れます。
この点で黄色腫、および ランゲルハンス細胞組織球症(LCH :Langerhans cell histiocytosis) と間違えやすくなります。
5)眼の合併症状:虹彩の肥厚、混濁、前房内出血、緑内障など。
6)カフェ・オ・レ斑と合併するとき(20%)には 神経線維腫T型(フォン・レックリングハウゼン病)の可能性があります。
治療
腫瘤は3〜6年の間に軽い萎縮を残して治るので、全部を切除する必要はありません。1個を生検し、他の疾患を除外して、合併症(白血病を含む)に注意しながら経過を観察します。
院長通信
黄色の小さい腫瘤です。家族性高脂血症の黄色腫とは異なります。よくわからないときには皮膚科の先生に相談します。 ※病理学的には、真皮から皮下組織にかけて組織球、リンパ球の浸潤を認め、典型例では脂質養成の泡沫細胞やTouton 型巨細胞が出現します。
※若年性黄色肉芽腫が皮膚線維腫、肥満細胞腫、伝染性軟属腫と臨床的に紛らわしいことがあります。
※皮膚外病変として緑内障が合併することがあり、失明に至ることがあるので注意が必要です。
※まれですが、若年性慢性骨髄性白血病を合併することがあり注意が必要です。
(文献 14 15)