粘液嚢胞(ねんえきのうほう) mucous cyst


粘液嚢胞(ねんえきのうほう)
口の中は粘膜の保護や洗浄、殺菌、抗菌、排泄を目的として唾液を分泌し、常に湿った状態にしておく必要があります。その唾液が分泌される腺を唾液腺と呼び、この唾液腺からの唾液の分泌がうまくいかずに、唾液腺の周囲に唾液が溜まっている状態を粘液嚢胞と言います。 唾液腺は大きく分けて2種類あり、大唾液腺と小唾液腺と呼ばれています。これらの唾液腺は舌や唇、頬の内側辺りにたくさんあります。特に、小唾液腺は唾液を分泌する管が非常に小さい為、この分泌線が傷ついたりすることで詰まりやすくなります。 これらの唾液腺がある舌や唇、頬の内側辺りに、ぷくっとした水泡が見つかったら、粘液嚢胞かもしれません。この病状は、自然完治することもあるので、発症から数ヶ月間様子をみても問題ありませんが、半年経過しても治らず再発を繰り返し、大きくなる一方であれば、病院できちんとした検査や治療を受けることが重要です。

症状
唇、舌、頬の内側辺りに水泡ができます。
粘液嚢胞は下唇や頬の内側辺り、舌先が最も発症しやすい箇所といわれています。 粘液嚢胞の大きさは直径5mm〜15cm程度のもので、触ってみると粘膜と同じくらい柔らかく、潰れると粘り気の強い唾液が中から出てきます。 このような水泡が出来た場合、ほとんど痛みのないものが多いですが、なんとなく腫れている感じがしたり、大きくなってきたり、出来る場所によっては食べづらいや喋りづらいといったように感じます。 再発しやすい傾向があります
無意識のうちに噛んで潰してしまったり、自分で針でさして溜まった唾液を外に流すと、水泡は消えますが、数日後に再発する可能性が高いです。このように、水泡がやぶれた際には、一時的に小さくなりますが、再発を繰り返すので、自然治癒するのは難しいと言われています。 また、再発を繰り返していくと、水疱がどんどんと大きくなったり、表面が硬くなったり、白色や青紫色へと色が変化していき、血液が透けて見えることもあります。 10代〜30代に多く発症します
男女の差はあまり見られませんが、この症状は10代から30代によくみられる症状で、特に子供に多いそうです。50歳以降の発症はほぼ見られないと言われています。
子供は口周りが気になって手で患部を触ったりしてしまう子も多いと思います。傷ついている唾液線の付近を手で触るのは、菌が入りやすかったり患部に刺激を受け再発しやすいので、注意が必要です。 粘液嚢胞は再発を繰り返すものが多いですが、自然消滅することもあるので、1ヶ月〜半年ほど様子を見るために放置しても問題ありません。放置したからといって、癌などの重大な病気に発展する可能性もありませんので安心してください。 特に子供の場合は、新陳代謝が活発で、傷の治りも早いので、粘液嚢胞が出来たとしても外的な刺激を避ければ、自然に治ることが期待できます。唇を噛んだり、患部に触れる癖や歯の損傷など何らかの刺激を患部に与えている場合は、癖を直したり、刺激の原因になるものを、取り除かないと、特に再発する可能性が高いです。 粘液嚢胞は粘膜が傷つくことで発症します。粘膜が傷つく主な原因を3つご紹介します。
粘膜を噛む
食べ物を食べている時など、無意識に唇や頬の内側部分を噛んでしまったりすることはありませんか。このように歯で粘膜を傷つけてしまうのが粘液嚢胞になる1つの原因です。 噛んでしまったときに傷つき閉鎖された唾液腺から唾液を出す際に、官に唾液が詰まってしまい、このような粘液嚢胞が出来ます。小さい子供で下唇の噛み癖がある子がいますが、そのような下唇を噛むことでも粘液嚢胞が発症するので、このような癖がつかないように注意が必要です。
口内炎
口内炎とは、口の周辺の粘膜が炎症を起こす症状です。この口内炎が出来ることで、粘膜が傷つき粘液嚢胞を発症する場合もあります。口内炎の原因は大きくわけて3つあります。
アフタ性口内炎
口内炎が発症する1番の原因が疲労やストレスなどのはっきりと原因が分からないものです。口内炎を悪化させる原因として、ビタミン欠乏、鉄欠乏、ストレス、免疫力の低下、睡眠不足、ホルモンバランスの乱れ、月経、遺伝、栄養不足などが挙げられます。これらが影響して口内炎を発症させると考えられています。
ウイルス性の口内炎
単純ヘルペスウイルス、水痘帯状ヘルペスウイルス、ガンジダ菌の増殖、梅毒・淋病・クラミジアなどの性行為感染症などのウイルスが原因となり、口内炎を引き起こします。ウイルス性の口内炎は発熱や強い痛みを生じることがあります。 カタル性口内炎
入れ歯や矯正器具が口の中で接触してや、頬の内側を噛んでしまった場合、細菌の繁殖、熱いお湯での火傷や薬品の刺激などが原因となって起こる口内炎です。これらが原因で口内炎を引き起こすと、口の中が熱く感じたり、唾液が増えて口臭が気になったり、味覚が分かりにくくなる方も中にはいます。
上記の他に、金属などのアレルギーが原因で引き起こす場合や、タバコを長期間吸いすぎることでおこるニコチンなども口内炎の原因になります。
歯や入れ歯、矯正器具が口内に接触する
歯並びが悪い方は、毎回同じようなところに歯が接触したり、入れ歯や矯正器具が口内にあたってしまい、粘膜を傷つけてしまう場合があります。虫歯や怪我が原因で歯が欠けたりして、尖った歯の先が口内を傷つけてしまう可能性もあります。

治療
粘液嚢胞が出来る原因は粘膜を傷つけてしまうことで発症します。そのため、外的な刺激を避けることがこの病状の予防や治療に繋がります。
しかし、数ヶ月間様子をみても、再発を繰り返し大きくなる場合は、専門科に相談して摘出手術をおススメします。治療方法として取り入れられている4つの方法をご紹介します。

手術で摘出
粘液嚢胞が何度も再発してしまい、自然治癒が難しい場合、手術で原因となる部分の粘膜を切り開き、嚢胞と呼ばれる袋に包まれた液体と原因となっている小唾液腺ごと摘出します。
手術は局所麻酔で行われ、10分程度の短時間で終わる痛みをほとんど伴わない簡単な手術です。
手術後には傷を縫合し、数日間は腫れが見られますが、1週間程度で抜糸を行い完治できます。
しかし、口の底や顎の下に出来る大きな粘液嚢胞は「がま腫」と呼ばれ、この場合の手術方法は異なります。
この場合の手術方法は、がま腫を切り開き、中に溜まった液体を排出するだけです。しかしこの手術を行っても、原因を取り出せていない為に、再発率は50%と非常に高いです。この状態が何度も発症する場合は、原因である舌下腺や顎下腺と呼ばれる大唾液腺を摘出しなければなりません。 この場合は、全身麻酔をつかって手術しないといけないことや、摘出することで別の症状を伴ったり、手術中に舌の神経などを傷つけると舌が麻痺し感覚がなくなるなど危険性が伴います

こどもの場合小さな2〜5ミリぐらいのものが時々出てきます。痛くはありません。ただ実際になかなか自然に治りませんので、手術を行っていただきます。
病院の耳鼻科にて手術をしていただきます。


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