太田母斑


太田母斑は眼球と皮膚(口腔粘膜)のメラノサイトの増殖により、三叉神経第1,2枝領域に生じる”青あざ”です。
全体に淡青色調であり、その局面内に細かな淡青色〜淡褐色斑が播種状に併発してきます。
生後まもなく現れる早発型と思春期に出現する遅発型とがあります。発症率は0.2%。早発型は思春期には増悪してきます。

症状
1)通常は片側性(90%)ですが、両側のものもあります。
2)色調は青に褐色調を混じできます。
3)境界は不鮮明、辺縁は小さい点状の色素斑からなっています。
4)眼球結膜に青色斑が存在します。
5)その他硬口蓋、鼻粘膜、鼓膜にも見られることがあります。
6)色素斑は一生続きますが、老人では青色調が薄れてきます。
7)伊藤母斑:同様の色素斑が肩峰三角筋部にある場合をこのように呼びます。

治療
メラニン色素は真皮に集中しているのでレーザーでほぼ100%治療できます。
Qスイッチレーザーを用いて、青色斑の自覚早期より3ヶ月に1回の頻度で治療していきます。保険内で可能。
2ヶ月頃から外来で局所麻酔下でレーザー治療が可能です。
幼少児では1回ですべての青色斑を治療する場合は前進麻酔下にレーザー照射します。
思春期女子に濃くなりやすいため、いかに心理的負担を軽くするかが重要です。
早発型であれば幼少期からレーザー照射を開始することで、薄くなっていきます。
遅発型であればレーザー治療とともにパーフェクトカバー、カバーマークなどの化粧品を使うことで患者さんのQOLを保てます。

★Qスイッチ付きのルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、Nd-YAGレーザーなどを使います。
Qスイッチとは、ナノ秒(10億分の1秒)単位の短時間に集中してレーザーを発射できる装置のこと。 レーザーを照射すると、メラニンを含む細胞内小器官であるメラノゾームが選択的に破壊される。メラニンは黒く皮膚のほかの部分よりもレーザー光の吸収がよいため。ごく短時間の照射では周辺の組織に熱が伝わらずダメージも与えない。
メラノゾームから飛び散ったメラニン色素は真皮内にこぼれ落ちて、しばらくそのまま存在する。そのため、あざの色はレーザー光の吸収照射直後に薄くならない。3〜5ヶ月でマクロファージが色素を貪食しつくしたときに初めて色が消える。
一般には3ヶ月おきの照射で3〜6回、半年から2年程度で治療が終わる。
太田母斑以外の青アザでも異所性蒙古斑や伊藤母斑といった真皮にメラニンが集まるものなら、同様に治療効果が期待できる。
太田母斑ほどではないが、レーザー治療に一定の効果が期待できるのが、皮下の毛細血管が異常増殖して色がでる単純性血管腫、ポートワイン血管腫、苺状血管腫などの赤アザが効果があります。
(文献 14 49)

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