臍(さい)ヘルニア(赤ちゃんのでべそ)
生後からおへそが出っぱってくることがあります。親指くらいの大きさからピンポン玉ほどの大きさになることもあります。さわっても赤ちゃんは機嫌良く、泣きません。押してやると、ぐじゅぐじゅといって引っ込みますが、おこったり泣いたりするとまた出てきます。押さえてよくさわってみると、穴があいていて、大きいものでは指が入ります。
原因
お腹の壁がおへその元のところで、本来なら生まれてから閉じるはずのものが、きちんと閉じなかったため穴があいたままとなり、そこから腸が出てくるのです。ぐじゅぐじゅといってひっこむのは、腸がおなかの中に入るときの音です。心配はありません。 治療
ヘルニアの穴の大きさ(ヘルニア門といいます)が2cm以下の場合には1歳までに85%治癒するといわれているので、その間は様子を見ていました。それ以上で、大きく治癒傾向がないものに対しては手術を行うことになります。また、ヘルニア門が2cm以上のときには手術をしなければならないことが多いようです。
現在主流になっているのが、次の項で述べます、綿球による圧迫療法です。
最近はあまり見かけませんが、硬貨や絆創膏などの圧迫する治療法は不確実であったり、まれにずれて腸管が出てしまった場合には嵌頓(かんとん)といって腸閉塞の状態になることがありますし、またかぶれる原因になりますのであまりおすすめではありません。
普通ではかんとんはほとんどおこることはないといわれています。
綿球による圧迫療法
小さな綿球(綿で作った丸い玉)をヘルニア門にあててその上から絆創膏固定する治療法です。
この方法は
1)早めにヘルニアが閉じる(治癒する)
2)周囲の皮膚が伸びないでヘルニアが閉じたときに皮膚が収まりやすい。
大きめのヘルニアになりますと泣く力が強くなって、大きくピンポン球の様に膨らんでしまうことがあり、これを繰り
返すとへその皮膚が大きく伸びてしまいヘルニアは閉じても伸びた皮膚は小さくならないため、余った状態になり、
見た目がよくありません。これを防ぐには良い方法だと思います。
※貼るテープの性能が良くなったので、10日前後貼れるようになり、しかもお風呂にそのまま入れます。 ※自分で勝手にしないようにしてください。
※手術が必要な場合は小児外科の先生に行っていただきます。手術の時期については受診して相談の上行うことになります。麻酔のこと(麻酔自体のリスク)があるので、3歳頃から手術の適応になります。手術自体は難しいものではありません。
※上腹壁ヘルニア(白線ヘルニア)
白線部の筋膜欠損が原因で起るものです。通常は臍ヘルニアの上部にできることが多いようです。ひじょうにまれなものですが、自然閉鎖の可能性は低いため、手術の適応になります。