起立性蛋白尿


学校検尿にて蛋白尿を主訴として来院する患者は多いです。
起立性蛋白尿は尿検査で蛋白尿が見られるもので、これは病的なものではありません。立ったり、腰を曲げたりするときにだけでる蛋白尿です。
腎臓に問題はありません。尿蛋白の量も多くはありません。血圧は上昇することもなく、顔や体がむくんだり、尿の量が減ることもありません。
検査において一般検血や腎機能、X線検査などにも異常は認められません。
蛋白尿のみを主訴とする患者はまず起立性蛋白尿症であるかないかを除外することが重要です。


診断
いろいろな検査で異常がない場合、体位性蛋白尿のテストを行います。
早朝尿(必ず前日就寝時に排尿させ、来院日の起床第一尿を採尿させたもの)と来院時尿あるいは前彎負荷15分後に採取した尿の蛋白を比較することにより、その大半が起立性(体位性)蛋白尿症と診断されます。 起床時尿で3日連続で異常がない場合、つまり蛋白尿が陰性のときには起立性蛋白尿の可能性が高いといえます。
尿の中にときに赤血球が少量見られることもあります。
※蛋白尿について
 →蛋白尿

日常生活
まったく普通でいいです。運動や食事の制限は不要です。大人になるとなくなります。

尿中N-アセチルグルコサミニダーゼ(NAG)
腎の近位尿細管、前立腺に高濃度に局在するリソソーム酵素である。 尿中のNAG排泄増加は尿細管障害の可能性を示す。
尿は,日内変動が認められ,早朝〜昼間に高値で,夜間〜深夜に低値となる。 尿、その他の測定値は参考値とする。
尿のpH4.0以下、pH8.0以上ではNAG活性値は失活する。

β2MG
全身の有核細胞にそんざいする低分子タンパク質。本来なら糸球体で濾過された後、近位尿細管でほとんど再吸収される。
よって尿中には排泄されない。しかし尿細管が傷害されていると再吸収できないために尿中に排泄されるようになる。
C3、C4
補体第3成分、補体第4成分のことで、血中に最も多く存在する補体成分です。
補体とは主に肝臓で産生され、細菌の侵入などをきっかけにして連鎖的に活性化する血漿蛋白でC1〜C9の9成分と各種の反応因子があります。
感染防御や炎症などの生体防御である抗原抗体反応によって活性化され、抗原抗体複合物や細菌の表面成分などに反応してマクロファージなどの食作用を亢進させ、炎症・溶菌・溶血反応などを引き起こし、生体防御において重要な役割を果たします。
生体内で抗原抗体反応が起こると補体が消費されることから、全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患では補体が消費され低下します。
また補体が低下すると細菌を排除する能力が低下します。
補体の測定には、活性を指標とする血清補体価(CH50)と蛋白量として補体成分を測定する方法があり、日常測定されるのがC3とC4です。
CH50は血中補体活性の総和を示すことから、一部の補体成分の機能あるいは蛋白量の低下があると低下します。よって血清CH50が低下していた場合は、次にC3とC4を測定します。
C3、C4がともに低下している場合は肝硬変などによる補体産生の全般的低下の可能性、あるいは免疫複合体などによる強い活性化による消費の亢進が考えられます。
後者の代表例としてSLEがあり、疾患活動性の有用な指標となります。
CH50が異常低値を示しC3、C4がともに正常であった場合は、採血後の低温における補体の活性化(cold activation)の可能性があり、37℃血清あるいはEDTA血漿を用いて再検します。
慢性C型肝炎やクリオグロブリン陽性の患者血清でみられます。血漿CH50も低値の場合はC3・C4以外の補体成分欠損を疑います。
CH50(50% hemolytic complement activity):一定の赤血球の50%溶血に必要な補体活性量を示す。
 
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