舌根嚢胞 Radix Linguae cyst


舌根膿疱とは
甲状腺は胎生期に舌盲孔の部分から発生して舌骨を通り、頸部の前に下降します。この通り道を甲状腺舌管と呼び、通常は甲状腺の下降後に消滅してしまいますが、甲状舌管の残存から嚢胞が発生ししたものが、舌根嚢胞です。
嚢胞は咽頭蓋を圧迫するため、舌根嚢胞では喉頭蓋が吸気時に喉頭側に引き込まれる喉頭軟化(軟弱)症を併発します。喉頭軟化症を診断しても、舌根嚢胞は見逃しやすいため、喉頭ファイバー検査は必須です。
喉頭ファイバー検査では、舌根部に腫瘤(舌根膿疱)を認めます。
同時に頸部X線と頸部CT検査を行います。
頸部X線では舌根に腫瘤陰影を認めます。同様の腫瘤を示すものとして、甲状腺が舌根部に存在する異所性甲状腺があります。
この場合、造影CTを行うと舌根嚢胞ではlow density を示すのに対し、異所性甲状腺はhigh density になります。

症状
嚢胞が気道を圧迫するため、喘鳴、呼吸困難が生じ、酸素飽和度が低下します。睡眠時の無呼吸が起こります。哺乳児に度々息継ぎをしたりすることもあります。その後咳や吸気性喘鳴が出ます。軽度の漏斗胸および吸気時に鎖骨上窩と胸骨下部の陥没などがでます。

治療
酸素投与。 経口哺乳が困難であれば経管栄養でミルクを投与します。
嚢胞の開窓術を行い嚢胞を切除します。

舌根 root of tongue
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