正中部母斑(サモンパッチ、ウンナ母斑)
サモンパッチとウンナ母斑はともに生後すぐに見られる血管種です。
サモン・パッチ
上まぶた、まゆのところ、ひたいの正中部に境界が不鮮明な淡い紅斑として見られます。新生児の20〜30%に見られます。
泣いたり入浴の時など、あるいは発熱時など血流が多くなると、赤みが濃くなります。上眼瞼のものは両側が多いのですが、片則性のものも形は不規則、額正中部のものは、眉間に向かってV字型を呈します。
時に、鼻の頭、鼻翼部、鼻の下(口唇上部)にも合併することがあります。これらの部位は消えにくい傾向があり、残ることが多いです。
ウンナ母斑
うなじのところにできる盛り上がらない血管種です。後頭部〜項部(うなじ)、時に後頭部に及ぶことがあります。不規則な形の紅斑で、全体として逆三角形の形になることが多いです。
治療
上眼瞼のものは、ほぼ1歳半までに自然消退しますので、経過観察のみで良いです。
まれに薄く残ることがありますが、眼に近いのでレーザー治療はしません。
額の正中にあるもの、鼻の周囲のものは、1歳半までに消退しなければ将来も残る可能性があるので、レーザー治療の対象になります。
ダイレーザーまたはVビームレーザー治療は、全身麻酔によらなくても、局所麻酔薬含有テープまたはクリーム製剤貼付の後行うことができます。
通常1〜2回の照射でほぼ消失します。
ウンナ母斑は1歳半ほどで半数は自然に消えます。残りの半数は将来も残ります。髪に隠れてしまうので、治療することはあまりありません。後頸部にまで及び目立つものはレーザー治療の適応になります。
(文献 47 p110)