おたふくかぜワクチンについて・Q&A
おたふくかぜ患者は3〜4歳が最も多く,2〜9歳が好発年齢であり,毎年数万〜数十万人の患者が報告されています。
おたふくかぜワクチンは任意接種でお金がかかるため,接種率は低く,おたふくかぜ患者の発生を抑えられません。おたふくかぜはその合併症として、無菌性髄膜炎がよく知られていますが、予後はそれほど悪くないとはいえ、子どもにかなり苦しい思いをさせ、脳波異常が残ることがあることも指摘されています。
また、0.5〜0.01%程度と頻度は低いのですが、難聴という合併症があります。感音性難聴でほとんどは片則性ですが、両側のこともあり、治癒しないのでかなり深刻です。
成人の睾丸炎は無精子症を起こすことがあり、不妊症の原因になります。
上記の理由でワクチンを是非受けておいて下さい。
日本小児科学会ではおたふくかぜワクチンは2回接種を推奨しており、MR(麻疹、風疹)ワクチンと同じ頃に2回目を接種するのが良いと思われます。(2014.5.20) 1回目を1歳から接種し、2回目を4〜6歳頃接種するのが良いと思います。
MMRという麻疹、風疹、おたふくかぜの三種混合ワクチンが接種されていたとき、おたふくかぜワクチンの副作用として無菌性髄膜炎がかなりの頻度で発生したために、MMRワクチンは中止になりました。副作用のない安全なワクチンが待ち望まれていますが、現在の単独おたふくかぜワクチンは無菌性髄膜炎を起こす頻度は非常に低いものです。 Q おたふくかぜワクチンは受けた方がいいのですか
A 今は定期接種ではありませんが、絶対受けておいた方がいいです。上に上げたような合併症がありますし、大人になってもうかからないだろうと安心していたら、子どもから感染して、大変なことになることもありますので、安心はできません。
Q 兄弟がおたふくかぜになってしまいました。今からでもワクチンができるでしょうか。
Q おたふくかぜワクチン接種後の無菌性髄膜炎の発生頻度はどれくらいでしょうか
A 以前、MMR(麻疹、風疹、おたふくかぜ)という混合ワクチンが行われていた頃には無菌性髄膜炎の発生頻度が1,200人に1人(0.08%)と高くこれがMMRワクチンの中止となったのです。現在の単独ワクチンははっきり解っていませんが、北里研究所によるデータによると10,000人1人といわれています。
自然感染により発症する髄膜炎の発生率が2.95%と言われています。従って、ワクチンにより予防する方が安全であると考えられています。
Q ワクチン接種後の無菌性髄膜炎の診断と経過は?
A ワクチン接種後の髄膜炎の発症は,1歳から3歳未満に集中(90%)して,これは接種年齢を反映しています。嘔吐,髄膜刺激症状などの臨床症状のみで診断している症例もありますが,臨床症状に加えて髄液検査により細胞増多を認めたことを診断の根拠としている場合が96%と圧倒的に多く,72%がウイルス分離を行っています。症例の95%が入院し,入院例のうち76%が1〜3週間入院していますが,経過は良好で全員が完治しています。
Q 麻疹ワクチンや風しんワクチンにくらべて抗体獲得率が低いといわれていますが
A おたふくかぜワクチン接種後の抗体価測定技術の問題もあって,測定者によって獲得率に違いがあることがあります。中和抗体測定法やELISA抗体測定法によって,90%前後の抗体獲得率となっていますが,HI試験によると麻しんや風しんワクチンの抗体獲得率にくらべてやや低いようです。
確かに麻疹や風しんワクチンに比べると3年から4年で免疫が失われ、発症する例が報告されていますが、一般的には軽症に終わる場合が多いようです。しかし、無菌性髄膜炎などの報告もあり、油断はできません。
Q 積極的におたふくかぜワクチンの接種をすすめてもいいでしょうか
A おたふくかぜは,集団生活をする4歳前後に最もかかりやすいことと,いったんおたふくかぜにかかりますと無菌性髄膜炎,難聴,睾丸炎などの合併症の心配もあります。自然感染で重い症状や後遺症で苦しむよりはワクチン接種で防ぐほうが賢明です。ただ,このワクチンにはまれに起こるワクチンウイルスによるものと疑われる無菌性髄膜炎がありますので,そのことをよく理解したうえで,ワクチン接種を受けるようにして下さい。ただし,このまれに起こる副反応は,自然感染によって起こる合併症よりもはるかに頻度は低く,経過も良好なものです。医師から話をよく聞いて,ワクチンを受けるようにして下さい。
Q 過去におたふくかぜに罹患したどうか分かりませんがワクチンを接種してかまいませんか。
A
おたふくかぜに罹ったかどうかは、血清学的に抗体検査をしないとはっきりしません。おたふくかぜは不顕性感染といって、ウイルスに感染しても症状がでないで抗体のみ獲得することがあります。抗体がある人にワクチンを接種しても、問題となる副反応は生じることはないと考えられています。
抗体を調べてからワクチンをするのが一番良い方法でしょう。