溶血性尿毒症症候群(HUS)

溶血性尿毒症症候群(HUS)は腸管出血性大腸菌感染症の後、しばらくして発症してくる重篤な病態です。だいたいは自然に治癒しますが、一部の患者さんは死亡したり、重症の合併症をきたすことがあります。 

症状
 細血管障害性溶血性貧血(破砕赤血球を伴う溶血性貧血で、Hb10g/d以下)、血小板減少(1万以下)、急性腎不全(1.5倍以上)を3つの症状をもって診断します。
一般にHUSは腸管出血性大腸菌感染症の患者さんの約1〜10%に発症し、下痢あるいは発熱出現後4〜10日に発症することが多いようです。下痢が軽快した後に腹痛、元気がない、尿量が少ない、浮腫、出血斑、頭痛、傾眠傾向(眠りたがる)、不穏、けいれん、血尿、蛋白尿などの症状が出てくると要注意です。その後、急速に進行します。 このように下痢などが落ち着いて、一安心して発症してくることがあり、腹痛、血便の消失後、1週間は注意して、経過を観察する必要があります。
患者さんの約1/4〜1/3は何らかの中枢神経症状が見られます。

HUSの重篤化因子として、以下のものがあります。
@白血球増加(2万以上)
A低Na血症
B低蛋白血症
CALT(GOT)の上昇
Dクレアチニンの上昇(2.0以上)

治療
1)輸液や利尿剤の投与
2)透析療法
3)輸血
4)高血圧に対する治療
5)中枢神経症状に対する治療
6)その他
   血漿輸液、血漿交換、ガンマグロブリン、ハプトグロビンなど。

予後
急性期の死亡率は約2〜5%といわれています。
HUSは大半は自然治癒します。

腸管出血性大腸菌感染症のO157:H7でVT2陽性のものが重症化しやすいといわれています。発熱、白血球数、CRPの急激な上昇は要注意です。
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