インフルエンザ
インフル工ンザはインフルエンザウイルスが鼻や口から感染することで発症します。
A型,B型,C型の3つのタイプがあります.その年により流行は異なりますが、主にA香港型,Aソ連型,B型のどれかが流行します.C型の流行はほとんどありません。A型ウイルス粒子表面には赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)という糖タンパクがあり、HAには16の、NAには9の亜型があります。A型インフルエンザのうちH1N1(ソ連型)、H3N2(香港型)が主流です。A型ウイルスは流行の度に少しずつ変化し、また、10年から15年に1回大きく変化することがあります。
症状はどの型もほとんど同じです.家中みんながかかること多く,ふだんかぜをひかない大人でも高熱が出ます。
B型について
ワクチンの効果が充分ではないようです。ワクチンをしていてもかかっている子どもが多くはないですが、少しみられます。発熱はA型に比べると低く、症状も少々軽いようです。タミフルや坑インフルエンザ薬が効きにくい場合があり、熱が続くことがあります。
一般にA香港型の流行後にB型が流行してくる傾向があります。 2018年の流行
全国的にB型インフルエンザが最初から流行しています。A型とB型が混在していて、両方同時にかかっている児もいます。この場合普通のインフルエンザと変わりません。
A型にかかった後、B型にかかっている児もいます。B型の場合熱は低い傾向にあり、検査結果が時間が経っていても出にくい傾向があります。診断に苦慮することがあります。
A型は2タイプあり、2回かかっている児もいます。例年1例か2例なのですが、今年はすでに3例ありました。
所見としては喉の所見が非常に重要なのですが、今年は咽頭所見にあまり特徴がありません。とても診断が難しいです。
数年前から乳児も感染することがはっきりして突発性発疹などの時には2回もインフルエンザテストをしなければならないときもあります。
2月の時点で80%がB型という感じです。
症状
急激に発熱し高熱となります。3〜7日続きます。一度下がってまた再びでることがあります(二峰性発熱)。潜伏期は1〜2日。ふつうのかぜにくらペて症状がひどくなります。のどの痛み、鼻みず、咳などの感冒症状がでます。全身が非常にだるく、食欲が落ちてしまいます。頭痛、手足の筋肉痛、腰痛、頭痛、腹痛などの痛みがつよく、嘔吐、下痢などの消化器の症状がでることもかなりあります。
診断
突然の高熱、全身の倦怠感、上気道症状などこどもの様子を見て、検査を行います。8分から10分で結果が出るキットでA,B型のどちらかはっきりわかります。インフルエンザであっても陽性にはならないこともあります。発熱してからの検査時間が早すぎるとか、検体の取り方、例えば鼻の奥に十分に綿棒を入れなかったとか、充分鼻の粘膜をこすっていなかったとか、(喉の奥から取ることもありますが、これは鼻から取るより、精度が落ちます)、キットの精度もあります。このような場合には診断に困ることがあります。このような場合は臨床症状で決めます。
発熱してからの時間はかなり判断が難しいのが現状ですが、症状がかなりしっかりしているときには6時間くらいでも陽性になることが多いです。正確にはA型の場合、発熱してから12時間を越すと、ほぼ100%に陽性になりやすいですが、B型の場合は24時間を越さないと陽性になりにくいようです。ほかの条件でもインフルエンザでありながらはっきり陽性にならないこともあります。
抗インフルエンザ薬を1999年から使用しています。早期に使うと効果があります。この場合、インフルエンザかどうかの検査をして、陽性になればできるだけ早く使用します。2001年より子どもにも使用できるインフルエンザ薬が使用できるようになりました。 これらは発症後40〜48時間以内に服用しないと効果がないとされており早めの診断、治療が必要となります。
この薬の副作用は重篤なものはありませんが、腹痛、下痢、嘔気などが出ることがあります。
私自身はどちらかというと使ってあげた方が速く症状が取れ、肺炎や他の合併症を減らせるのではないかと思っています。 抗インフルエンザ薬タミフルはこれを使用することによって年長児の行動異常が報告され、10歳以上で使うことができなくなりましたが、使わないケースでもこのような行動異常が報告されており、はっきりした結論は出ていません。
リレンザ、イナビルという薬も同様に考えたらいいのではないでしょうか。これらも使用時に異常行動のお話をしますが、やはり使用していない患者さんもこの症状が出るので、インフルエンザそのものによる熱譫妄と考えて良いと思います。つまり48時間以内ではこの行動異常には気をつけて下さい。特にドアを開けて飛び出る、階段から飛び降りる、窓から飛び降りるなどの行動が特に危険なので、戸締まりをしっかりして簡単に開けることが出来ないようにしておいて下さい。経過観察が必要なのですが、24時間全て見ることは出来ないので、このような点を重視して下さい。
実際に使用してみると、1〜2日以内にほとんどの場合、解熱します。A型は反応が良いですが、B型は今ひとつです。効果があまり良くないですね。インフルエンザに多い、二峰性の発熱(一度下がってまた出る熱)も無く、経過はいいです。ただけだるさなどはなかなかとれないようです。熱が下がったと思っても、お薬を勝手に中止しないでください。また、発熱することがあります。
家庭で気をつけること
@休む:家でゆっくり安静に眠らせることです。
A保温:暖かくして、加湿をして、休ませます。暑すぎては消耗します。
B食事:食欲はなくなりますので、子どもの好きなものでいいですから、消化のよいものを与えます。水分はしっかり与えてください。
C入浴:熱が下がったら疲労させない程度でさっと入れてやります。
D発熱が一度下がってまた出ることがあります。一度下がっても決して安心しないようにしてください。
合併症
気管支炎、中耳炎、肺炎がおこることがあります。筋肉炎がおこることがあります。
そのほか重大な合併症として、インフルエンザ脳症がおこることがあります。
急に呼びかけに反応しなくなったり、意識がないときやけいれんが起こったときはすぐに病院を受診しましょう。
予防
ワクチンが有効です。40%以下というデータもありますが、年によっては60%程度阻止できるというデータもあります。
小さな子どもの脳炎や脳症を防ぐにはインフルエンザワクチンをするしかありません。家族中が感染することも珍しくありません。坑インフルエンザ薬がいくら効果があるといっても副作用もありますし、人にも移すし、長く休まなければなりません。
流行が始まる前にできるだけ受けておきましょう。11月に1回目、12月に2回目をしておくのが理想的です。
最近は流行する型がかなり予想できるようになったので、効果が良くなってきています。
インフルエンザウイルスは乾燥した冷たい空気が好きなので、部屋など乾燥させないように湿度を高めにしておいてください。そのほか、人混みを避けたり、外出から帰ったら、手洗いをしてうがいあるいはお口をゆすぐ、マスクをするなど気をつけてください。マスクはウイルスは通ることができますが、くしゃみや痰などは通ることができませんので、予防には効果があります。
学校・幼稚園・保育園
流行状況
2016-2017
全体には少ないですが、12月から1月にかけてA型が主流です。B型はほんの少しです。ワクチンは効いているようで、4分の3はワクチン接種していない児でした。坑インフルエンザ薬は効果があります。1日から2日目に熱は下がっています。
2007-2008
11月から12月にかけてAソ連型がかなり流行しました。児島地区は岡山や倉敷市、玉島、総社などに比べてかなり少なかったようです。2008年になってほとんど終息したかに見えますが、まだくすぶっているようです。
2002-2003
2003年の流行は2002年の12月の半ばから始まっています。ほとんどはインフルエンザA型です。今年のインフルエンザは咳が強く長びく傾向があります。下痢や嘔吐など消化器症状は少ないようです。今年は例年に比べて流行が早く始まったので、2月いっぱいくらいで収まってくるかもしれません。
インフルエンザワクチンをしていたのになった方もいますが、インフルエンザにかかったほとんどの人はワクチンをしていない方々です。
1回だけ接種を受けた方は2回受けた方よりも感染率が高いです。
1月の終わり頃から2回目の熱の子どもたちが増えてきました。一度下がっても安心しないように十分な休養をとり、お薬もきちんと飲んでください。
厚生省の関連リンク
インフルエンザのページ
インフルエンザの詳しい情報が書かれています。