はしか(麻疹)


はしかは麻疹ウイルスが感染し、咳や鼻水、発熱が続いた後、全身に赤い発疹ができる病気です。潜伏期は10〜12日です。麻疹ウイルスは感染するとほとんど麻疹を発症します。大変感染力の強い病気です。1度かかるともうかかりません。生後6ヶ月頃まではお母さんから免疫をもらっているので、ほとんど発病しません。

症状
発熱は高熱がでることが多く、熱のないことはありません。かぜ症状が続いた後、発熱し、2〜3日後に一度発熱が下がりかけた様に見えたとき、再び高熱となり、ほぼ同時に発疹が首や顔から出現してきます。そのまま全身に急速に広がります。発疹は1週間ほどで消えていきますが、発疹の出た後が黒っぽくなり、しばらく残ります。これを色素沈着といいます。発熱は非常に高く、40゜Cくらいになります。このころ鼻水がひどく、目やにもかなり見られ、下痢もひどくなることが多いのです。とにかく非常にしんどい病気で、子どもは相当疲労します。合併症がなければ1週間ほどで解熱します。しばらく、咳や鼻水は続きます。 発疹が出る前に口の中にコプリック班という口内疹が出て、初めてはしかということがわかります。それまではわからないのです。ですからよけい感染しやくすなります。
成人が感染すると、さらにひどい状況になり、高熱と強い発疹で苦しい思いをします。

治療
症状に対する薬を使います。咳、鼻水、下痢、目やに、などのお薬、また合併症に対する薬を使います。特別な治療はありません。合併症を起こした場合は入院治療が必要になることもあります。

家庭での注意
食欲がなくなりますので、水分をしっかりあげます。咳がとてもひどくなりますので、湿度と温度を高めにしてやります。
風呂には熱が下がってから様子を見て、入れてやります。
治りかけの時によく眠ります。
暖めすぎてはいけません。「よく冷やしてはいけない」といわれていて、暖めすぎて全身が真っ赤になり、あせもができる子どももいます。この場合子どもは熱を放散することができず、消耗します。

保育園・幼稚園・学校
解熱後4日以上経ってから、行くことができます。

予防
ワクチンが有効です。1才の誕生日が過ぎたらできるだけ早く受けておいてください。けいれんなどがある子どもでも麻疹になったらよけいひどくなりますので、主治医の先生とよく相談して、できたらワクチンを受けるようにして下さい。

その他の注意
@高熱が続き、頭痛を訴え、頻回に吐く場合は早めに診察を受けましょう。
A熱が長く続いたり、水分が全然飲めなかったり、咳がひどくなり、呼吸が苦しそうな場合は早めに診察を受けましょう。
B兄弟など発症した場合は発症して、4〜5日以内であれば、ガンマグロブリンという薬を注射しますと、軽症化させたり、発病を防ぐことができます。幼稚園・保育園なども一人が発症したら、周りの子どもにこの注射をすることができます。しかし、この薬の効き目は3ヶ月ほどしか持たないので、発症しなかった場合には、3ヶ月を過ぎたら、ワクチンをしておきましょう。

合併症
はしかは合併症として、中耳炎、気管支炎、肺炎、脳炎があります。このようにたくさんの合併症があり、大変しんどい病気です。肺炎や脳炎は死亡することがあります。現在でも日本国内ではしかによって年間50人くらいの子どもが亡くなっています。脳炎は治ったとしても重篤な後遺症が残ることがあります。
ですから「自然にかかった方がいいのではないか?」と聞かれることがありますが、これは大きな間違いです。完全に治癒した後でも亜急性全脳炎などという怖い合併症が何年も経ってから出てくることもあります。必ずワクチンを受けて予防しておきましょう。


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